61.予算
「で、何のために欲しいんだい?」
老女は気がすむまで笑い、ふうと息を俺に吹き掛けた。その煙は苦さの中にどこか甘い香りがした。
「櫛は魔物の毛をとかす為にほしくて、小瓶は液体を入れて持ち歩く為に、弓矢はプレゼントとして渡したいんです」
「なかなか、事情がありそうだねぇ····。まぁ、いいさ」
老女は杖をコツンコツンと二回床を叩くと、店の奥から十人くらいの子供達が出てきた。
「あー!」
「ポーターさんじゃん!」
「こんにちわ!」
「誰!?この子誰?」
出てきた子達はポーターさんと俺の回りを囲む子と少し離れた所で様子を伺う子達の二手にわかれる。
「増えたか?」
「まぁね。ほら、お前たち、仕事だよ」
老女はコツンと杖で鳴らし、子供達は静かになった。
「櫛に、小瓶、弓矢を持ってきな」
その言葉に、女の子達がキャァと黄色い声をあげた。かわりに男の子達はうげぇと顔をしかめる。
「告白?するの?」
「ね、ね、どんな子?」
「なんで好きになったの?」
「ヤバイね!」
グイグイと来る質問に耐えきれなくなった俺は、ポーターさんの後ろに隠れた。
「さっさと仕事しな、お前たち!」
老女に注意されると、「はぁい」と少し不満げに返事をし、子供達は、散らばっていった。
「全く、喧しくてすまんね」
「い、いえ」
少しすると子供達は、木の板の上に櫛や小瓶を乗せて持ってきた。弓矢は、それぞれに担いでもってきてくれた。
その1つ1つを老女は説明していく。
櫛は全部で五つ。
木製の櫛が安いものと高いものの二つあった。安い方は100ゴールド、高い方は500ゴールド。その違いは、木材の種類であり、また耐久性は高い方が優れているらしい。
櫛の毛の部分が違うものが三つ。毛で出来ている櫛の方が解かしやすいそうだ。一つは、植物の葉で出来た櫛。50ゴールドと安く、一般的に使用されている櫛だそうだ。二つ目は、魔物の尻尾の毛の櫛。1500ゴールドと高めで、魔物の毛は加工が必要であり、技術料として値段が高くなっているようだ。金持ちに人気の櫛らしい。最後の三つ目は、魔人種の髪から出来た櫛らしい。しかも、芳の国で育った者の髪故に、髪をとかせば香りが対象に移るらしい。値段は1番高く、5000ゴールド。
くっ高すぎる。しかも、芳の国ってどこよ。
小瓶は三種類。
簡単に割れてしまう薄い硝子性と割れにくいけれど中身が全く見えないもの、魔石で出来ていて貯めた液体に魔力がこもっていくもの。順に10ゴールド、15ゴールド、100ゴールドの値段だった。
弓が4つと矢が6種類ほどあった。
弓は短距離のものと中距離のもの、長距離のもの、素材が特殊なものの四つ。矢は素材と殺傷能力が色々と違うらしい。素人なので詳しく説明されてもわからなかったので、シンディさんの特徴を少し伝えてポーターさんに選んでもらった。
結果、長距離型の弓と回収すれば何度でも使える耐久力のある矢を十本というのは決定した。
弓矢は合計3000ゴールド。予算は残り、5000。小瓶は最低でも5つ買いたい。櫛は毛で出来ている方を買いたい。割れにくい小瓶を5つと植物の櫛か?
いや、違うね。
「弓矢はこれとこれで。小瓶は割れにくいものを5つ、櫛は魔人種のものをください!」
予算がなんじゃい!あの獣の臭さを取り除くためには、必要なんじゃい!フレッド達の毛を解かして解かしてふわふわサラサラにして元をとってやる!
「はいよ。合計で8075ゴールドだよ」
俺は老女にお金を渡していく。残りは、3475ゴールドか。




