56.注意と優しさ(7日目)
昨日はひたすらエリマキに魔石を与え続けて終わった。そして、時間が終わるまでポーターさんは帰って来なかった。どこに行ってたんだろうか?ログインしたら、帰ってきてるだろうか。まぁ、今日は買い物に付き合ってくれるっていってたからいつかは帰って来るんだろうけど。
朝飯は普通におにぎりを作って食べた。炊きたてご飯に味噌を塗ってるだけの簡単なものだ。この味噌おにぎりは炊きたて、というところがポイントで、残りご飯だとおいしくない。このおにぎりは父親が初めて教えてくれた料理だ。父も育ての親に初めて教わった料理らしい。
おにぎりをむしゃむしゃ食べてからログインする。
カカオの目を開け、体を起こす。いつの間にか、ベッドに寝ていたらしい。しかも、しっかりと布団も掛かっている。おかしいな椅子の上でログアウトしたんだけど。
代わりに座っていたのは、ポーターさんだった。机の上に瓶が何本か置いてあった。
起きたことに気づいたのか、背中を向けていたポーターさんは振り向いた。もしかして、ポーターさんが寝かしてくれたのかな。
「よう。坊主、起きたな」
「あ、おはようございます。寝かしてくれたんですね、ありがとうございます」
「・・・・休みたいならしっかりベッドで休んでおけよ。ガキが遠慮してんじゃねぇ」
そういって、ポーターさんは俺の頭を撫でた。あんまりにも自然に行動するので、これはイケメン・・・・!と戦いた。きっとおねぇさん達にモテるんだろうな。
左右を見渡してもエリマキはいなかった。またいなくなった。何故?なんか、条件があんのかな。でも、考えてもわからんしなぁ。
「魔物ならさっき出ていったぞ」
キョロキョロしていた俺にポーターさんは気がつき、ドアを指した。
指さした方に顔を向け、そこで俺はポーターさんの言葉に違和感を覚えた。
「?よく魔物だって分かりましたね」
一見するとただの猫だ。それなのに、ポーターさんは魔物と断言した。
ポーターさんはため息をつくと頭をガリガリと引っ掻いた。
「あんなバケモン、見る奴が見りゃすぐわかる。····おめぇさんにも事情があるだろうが、詳しくは聞かねぇ。頭を突っ込んでも良い事はねぇだろうし、これ以上お荷物を抱えんのは嫌だからな。買い物には付き合ってやる。俺が言い出したことはキチンとこなす。だから、さっさと買い物したら出ていけ。いいな」
あまりにもキツい言葉が返ってきて、すこし悲しくなった。
「・・・・はい」
落ち込みながら返事をした。
はぁ、と息を溢すポーターさん。そして、何を思ったのかさっきより強い力で頭を撫で回す。つられて、俺の頭もグワングワンと揺らされる。
「ただ、お前はガキだ。それは分かる。庇護されるべき子供だ。もし、自分の手に負えなくなった時は、俺を頼れ」
ポーターさんの言葉にやっぱりこの人は優しい人なのだと再確認する。約束事を守り、子供は見捨てられない、人。俺なら、さっさとめんどくさいのならきっと放りだしてしまうのだろう。
「はい、ありがとうございます」
「それじゃあ、行くか」
「はい」
ポーターさんは立ち上がり、部屋の外へ出たので、俺も後に続いた。




