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5.お絵描きの時間です

ログインすると、案の定ポコポコしていたスライムはいなくなっていた。予想はしていたので、気にしない。

俺は城壁にもたれていた体を起こし、せのびをしながら《気配察知》でスライムを探す。


辺りの草原にはプレイヤーらしき存在は確認出来ないので、もっと強い場所に行ったんだろうな。皆、ちゃんと考えてたりしてんのか。俺みたいな行き当たりばったりは少数派だな、きっと。


近くにスライムがいたのは、運が良い。また初めからポコポコと隣に座って殴る。これでいつスライム倒せるんだとか言う疑問が浮かんだが、忘れよう。せめて、今日のログイン時間一杯まで頑張ろうぜ、俺。


ステータス画面を眺めるのは飽きたので、串焼きの串で穴を掘る。草原の草をほっくり返して、土を剥き出しにさせた。

土で汚れる?俺はそんなこと気にしない。暇だから、何したって良いでしょ。なんか感じ悪く聞こえるな。暇だからしょうがないか、の方がいいか?いや、これも感じ悪い。うぅん、違う言い方は無いものか。

そうか、この体型を生かして、暇なので遊んでるの~!が正解か!大人が言うとキモいが、見た目少年ならこれが正解だろう!って何に対して正解なんだ?


カカオは混乱している。自分で混乱系の魔法をかけたようだ。

こんな茶番、他人が聞いていたら絶対馬鹿にされるやつじゃん。良かった、リアルに脳内放送はなくて。


「お絵かき、お絵かき~」


学生時代、漫画家に憧れて練習したが、どんなに練習しようとも小学生並みだった。いや、今の小学生の方が上手いかもしれん。····え、じゃあ、今の俺は幼児並みなの?

気づいてしまった事実に俺は動揺を隠せない。なんで気づいてしまったんだ、俺。自分でざっくりとSAN値を削ってしまった。立ち直れんかもしれん。


ハッそうだ、こんな時は!


「俺の絵は幼児並みぃ~、それでもスライム倒せない~、ポコポコ、ポコポコ倒せない~」


ルンルン気分になったつもりで、歌って絵を描こう!誰も俺を止められないぜ!

フハハハ!見よ、この画風を!2周ぐらいすれば俺の絵もまた名画だ!


うん、こんなんだから《精神安定》が生えたんですよね。わかってます。


「情緒不安定さは見逃して~、これでも俺はぁ~、通常運転~」


俺は丸かいて丸かいて丸を書く。さらに丸を書く。丸、丸、丸。

出来上がったのは、犬。っぽいなにか。ワンコロ欲しくて、つい書いてしまった。

見直すとなんか呪いの絵みたいで怖い。なんで?犬を書いただけでしょ?

少し自分が分からなくなった。頼むからこんなんで、スキル生えないでくれよ。


数分してもスキル取得可能になった音は聴こえないのでホッとする。

取り敢えず、呪いの犬は証拠隠滅するために土を被せた。サヨナラ、犬。今度は紙で挑戦してやるからな。

挑戦しても同じことが繰り返されるだけだ、とか思ってる冷静な俺はお口チャックして。今回は土だったから駄目だっただけなんだ。紙ならきっと····。多分、きっと大丈夫だから。うん。


というか、良く良く考えると、歌って絵を描くってまんま幼児じゃん。

俺の精神年齢は、幼児だった?いや、違うと思いたい。せめて、少年くらいに····。


ピコンっ


え?今になってお絵かきのスキルが?選定でもしてたんですか?運営さん···。

俺は恐る恐るステータスを覗く。


スキル取得可能一覧には、《隠密》が増えていた。

《隠密》?え?なんか隠れて行動してたっけ?うん?え?このスライム叩き、隠密条件なの?

《隠密》の取得条件は一定時間の敵との行動、敵対されない。とのことだけど、めっちゃ隣にいるんですけど?何、俺の行動は無意味だったの?いやスキル生えてるから無意味じゃ無いんだろうけど···。え?何それ、こあい。全くダメージ入ってないどころか、敵視もされていないってことでしょ?更に《隠密》とると、俺どうなっちゃうの?滅茶苦茶怖いじゃん。てか、レベルアップが全然見えてこないんですけど。レベルアップしなきゃスキルを取得さえ出来ないじゃんどうすんの?


運営サーン!レベルアップが出来ないくそ雑魚に、レベルアップが出来るくそ雑魚をご用意してください!え?スライムがくそ雑魚だって?嘘だろ、おい!じゃあ、俺のレベルアップはどうすれば良いんですか!?


スライムポコポコにこんな落とし穴があるなんて····。



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