4.休憩
スライムをポコポコしてたら、既に2時間が経っていた。未だにスライムは死んでなかったが、取り敢えず、カカオ君は端に寄せてログアウトした。弱すぎて、誰も相手にしなさそうだし、空腹で死ぬこともない。
俺はVRヘッドセットを外し、テーブルに置く。
トイレに行ってからキッチンに向かう。ヤカンに水を入れて、火にかける。
ヤカンは、わざわざ頼んだのだ。ケトルもあったが、ケトルはお湯が沸くのは早いが、好きではない。ヤカンは沸く音が好きだし、待ち時間も好きなんだよな。
お湯が沸くの待っている間、企業から支給されたタブレットを流し見る。
ほうほう、ここから課金出来るのか。まぁ、しないんだけどね。俺がすると、課金は泥沼化するのがわかっている。今ゲームでつみかけているのに、リアルでもつみたくない。廃人になる未来を想像してしまい、うへぇっと舌を出した。おぉ、怖い怖い。健やかにゲームしないとな。
ネット注文もここからか。今のところはほしいものは無いし、見なくてもいいか。
口座は、と。俺が入れた10万のみ。日付が変わったら、入金されるのかな?
次は、貢献度順と人気順を確認する。貢献度って多分、攻略が進んでる順って事かな?多分、そうなんだろう。
結構DWMのCMが流れてたから、初日の放送からでも覗きに来る人が大勢いるんだろうなぁ。
人気順とかは、リアルアイドルがぶっちぎってそうだぜ。といっても、俺はアイドルには興味ないし、プレイヤー名も知らないが。
攻略1位はミカヅキ、2位はサクラ、3位はヨルか。もしかして、この3人同じパーティ?名前的に統一してる感がある。これでもし、パーティ組んで無かったらスゴい偶然だ。
人気1位はサクラ、2位はチョコ、3位同立でマシマロとミカヅキか。おいおい、急に女性陣が上がってきたな。どんだけ男性ファンが応援してんだ、これ。次からは女性ファンがミカヅキを押すんだろうか。それとも
他の人が浮上?
初日なのに、なんかドロドロしてそうだ。
少し身震いしてると、コツコツと気泡が出来る音が聞こえた。沸騰前のお湯の音だ。まぁ、そこまで暖める必要もないので、俺はタブレットをしまい、火を止めた。マグカップにミルクココアの粉を入れて、ダバーっと注ぎ、スプーンで混ぜる。
少量のお湯で練る人もいるみたいだけど、それはめんどくさいので、俺はしない。
リビングには企業が用意してくれた炬燵と座椅子があるので、そこに座り、ふぅふぅと息を吹き掛けて、一口飲む。
「うっま~!」
ウンウン、暖まるし、ホッとする。温度もちょうど良い。流石だね、ココア。流石だね、俺。
そういえば、人気2位にチョコって名前の人がいたな。あの人が先に名前を取得した人か。まぁ、お菓子系の名前は女性陣に人気あるし、仕方がないと言えば仕方ないか。
あ、チョコと言えばホットチョコレートが飲みたくなったなぁ。明日、追加で牛乳とチョコレートを頼もう。
ゲーム内では不味いものしか食えん代わりに、リアルでは満喫しよう。会社に勤めていた頃より時間は沢山あるし、久しぶりにケーキ作りに挑戦もしてみたい。
これからやることが増えるぜ!え?そんなことよりゲームをやれって?休憩も大事なんですよ、奥さん。って俺には奥さんなんていないけどな、アハハハ。生涯独身を貫くぜ!
いつかは大賢者になって異世界に····なぁんてね。異世界に転生したところで、せいぜい主人公の引き立て役かな。
ゴクゴクと飲み、英気を養う。これからまた、スライムとの耐久戦だ。頑張ろう!
空のコップをキッチンに持っていき、コップをスポンジで洗い、洗剤を流して、逆さまにして乾かす。
休憩時間は大体40分くらいになったし、そろそろゲームしよう。
あ、そうだ、昼はマンションの5階にある食堂で食べよう。確か、今日から開店だった気がする。何があるのかな?美味しいといいけど。
俺はDWMルームに入って、VRヘッドセットを被った。