42.対ゾンビ
視線で殺される、そんな感覚に陥る。殺意が俺やエリマキに向けられた。
「おぇ」
あまりの圧迫感に俺は嘔吐した。せっかく、口に入れていた草(?)も吐き出す。
多少の脱力感に襲われたが、倒れるほどでもなかった。ほっとしながらも、草(?)を食べる。そしてもう一回、口に入れとく。
すぐにウィン達の殺意は消えた。多分、釘を差すという意味合いがあるのだろう。
エリマキは警戒を解かず、視線は先生に向けられている。
「エリマキさん、エリマキさん、敵は先生じゃないんですよー」
そう言うと、エリマキはキョトンとして俺の顔を見た。あ、ちょっと、意思疏通が上手く言ってないみたいっすねー。
俺はエリマキを抱き抱える。
「先生は違うよ、敵はあっち」
エリマキは俺が指差した方向を見て、にゃぁん?と鳴いた。
「わかった?」
「にゃお、にゃ?にゃ、にゃ、にゃ」
なんか言ってるけど、全然分からない。でも、さっきまでのエリマキの混乱や恐怖は無くなったみたいだ。もしかして、エリマキは先生と敵対すると思っていたから、混乱状態だったのか?
そっと下ろすとエリマキは急に駆け出して、一瞬ヒヤッとするが、向かった先がゾンビだったのでほっとした。もうびっくりさせないでくれ。
にゃん、にゃん言いながら、ゾンビに軽く猫パンチをお見舞いしている。可愛いなぁ。相手がゾンビじゃなければ、癒し映像なんだけどなぁ。
気を取り直して!
「よし、エリマキ!攻撃だ!」
エリマキは猫から蛇に変わり、ゾンビの左腕に絡まって絞めていく。ゾンビに痛覚は無いのか、変わらず唸り声を上げていた。
ぶちっと、嫌な音をたてて腕を引きちぎり、そのまま飲み込んだ。
「ん~?」
想像していた攻撃と違い、苦笑する。猫パンチのままダメージを与えると思ったのに、何故蛇の姿になってまで引きちぎって食うんだ?エリマキの攻撃って、そういう感じ?まぁ、スライムの時もそうやってたけども、それにしてはエグすぎない?
残りの四肢を切断しては飲み込んで、エリマキの体がデブっていく。
それでも、もぞもぞと動くゾンビに一種の感動を覚える。こんなになってもまだ動けるのか。
って、あ、
「エリマキ、ストップ!」
ゾンビの体までも丸のみしようとしていたところを止める。危ない、危ない。確か、生き餌っていうのは頭を潰さないといけないんだっけな?
ゾンビの体に股がり、首元を狙ってナイフを何度も突き立てる。力が抜けてきたら、草(?)を飲み込んではまた口に放り込む。
意外に首を落とすのに時間がかかり、草(?)も残り35本になってしまった。本当に大変だった。····この映像見てる人、絶対引くよな。まぁ、俺にファンなんかいないんだろうけど。
動かなくなったのを確認してから、ゾンビの体から退く。よし、とエリマキに声をかけると、口を大きく開けて、飲み込む。腕や足よりも大きいからか、ずいぶんとゆっくりだった。
ところで、ゾンビって食って大丈夫だったのか?腹、下さない?




