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--.彼の人の視点
彼は、カカオがそこを訪れて去るまでの一連を木の上から眺めていた。
カカオの手助けをしようとは思わなかった。フレッドにも手を出さないように命じた。何故ならば、カカオには経験が必要だと思っていたから。
戦うことを覚えるのも必要、一人で考えることも必要、誰かと関わるのも必要。決して、どれも無駄なことではない。そして、彼にも同じように経験が必要だった。
彼には知識が疎らにある。
彼は人間というものが脆いと知っていた。
彼は人間に家が必要だと知っていた。
彼は男と女に愛情が産まれることを知っていた。
彼は育てることを知っていた。
彼は知識があるだけでは完璧ではない事も知っていた。
この世界に目覚めてから知らないことを知っていたことは、彼にとって何も特別でも不思議な事ではない。そうだったからそうなのだ。そして、知識の隙間を埋める行動をとり、より良い選択する。
カカオが知覚しない位置に遠ざけていたウィルを呼び寄せる。ウィルに命じて、蠢く魔物を一匹だけを拾い上げるように命じた。狼は鋭い牙で壊れぬよう、優しく肉の腹をくわえた。
彼らは拠点へ向かう。




