39.草むしりへ
「何をしている」
視界の端からひょっこりと先生が現れた。急に現れるからビックリする。
「ちょっとうっかりして力が抜けて····」
アハハと空笑いして誤魔化す。シンディさんを引っ張ろうとして力が抜けたなんて言えない。貧弱感がすごいから。
それより先生が現れてから、フレッドがガクガクブルブルしてから振動がちょくに来る。動悸も激しい。どんだけ怯えてんの?酔うよ、止めて。
先生は俺の口に葉っぱを詰める。もぐもぐと口を動かして飲み込み、体が動くようになった。
「先生、シンディさんにも草を食べさせてくれませんか?」
俺が立ち上がり頼むが、先生は興味が無くなったようにウィルの背に乗って去っていった。無視ですか。そうですか。
見えなくなると、フレッドは安心したように息を吐く。
本当に先生って昨日からどこにいってんだろうか?って、あぁ!服渡すの忘れていた!?····まぁいっか。
シンディさんを部屋に入れてあげたいけど、さっきの二の舞になるのは嫌だし、どうしようかな。フレッドに運ばせる?いや、どう考えても小屋に入れる大きさじゃないし。エリマキに運ばせる?こんなに小さな子に?
「あ、俺が草とってくればいいのか」
湖の近くの草をむしってストレージに入れとけば、薬草に当たるだろう。うん、俺にしてはいい考えだ。
ついでに肉も食べてこよう。多少は動けるようになるはずだ。
フレッドは腹の上に乗っていたシンディさんの頭を丁寧に下ろし、体を起こす。俺はストレージからいらなそうな服を取り出して、折り畳んだ。シンディさんの衿をくわえて、頭を上げてもらってそこの下にさっき畳んだ服を置いとく。枕代わりだ。土の上よりはマシだろう。
それにしても、こんだけしても起きないのか。本当に寝てるだけ?なんか、心配になってきたぞ。さっき見つけたというか、すっかり忘れていたHPポーションを飲ませようか?でも、喉に詰まらせたら手に終えなくなるし····。うん、やっぱり草を取ってこよう。草なら口に含ませるだけでも効果はある、はず。
「フレッド、湖まで案内して」
そう言うと、俺が乗れるように伏せてくれる。俺はフレッドの背に乗って、彼に歩いてもらった。
エリマキは首から降りて、着いてくる。蛇の姿ではなく猫の姿で、にゃんにゃんと嬉しそうに木の枝と枝を渡り歩く。時々、見失うが声が聞こえてくる。その声は嬉しそうで、まるで歌でも歌っているかのようにテンポがいい。
フレッドは俺が振り落とされないように、ゆっくり歩いてくれる。それでも俺が歩くよりも数倍早い。
このスピードなら大体30分から40分くらいで着くから、休憩を取っておくかな。まだ、1時間弱しかやってないけど、その方が効率が良いかもしれない。ただ、フレッドが落とさなきゃ良いんだけど。まぁ多分、大丈夫だろ。
「俺、ちょっと寝るけど平気?」
「ウォン」
小さく頭を動かして頷いた。エリマキも話を聞いてたのか、フレッドの体の上に飛び乗った。俺は彼の頭を撫でる。
「おやすみ、エリマキ」
「なぁぉん」
満足げに返事をして撫で終わると、また木へとジャンプした。




