38.空の色
朝飯をとって、ログインしてみると小屋の前で倒れているシンディさんを見つけた。彼女の手には一昨日貸したままの木の棒が握られていた。
「ぎゃー!」
俺は急いで駆け寄り、呼吸を確かめる。よかった、死んでない。
顔色は少し青ざめているので、体調が悪かったのだろうか。まぁ、そりゃそうか。シンディさんって結構、ハードな人生らしいし。それか木の棒を見るに昨日の夜にでも修行してたんかな?それで力尽きたとか?意外にもシンディさんって熱血系?せめて部屋の中で寝ればいいのに。
そう思って、俺は彼女の服の肩の取ってみたいな部分を掴み、引っ張ろうとした。が、力が抜けてバタンと倒れてしまう。
「ちょっと、ここでポンコツ具合を発揮しないでよー」
ウィン達が黒い獣だったときは引っ張れたのに、この差は一体何?!シンディさんがくっそ重いってこと?なんか、それって彼女にとても失礼な気がする。ほら、女性って体重とかに神経質というか、なんというか。
でも、このままではいけないし。よし、ここは必殺技だ。
「へるぷみー、せんせー」
ダメだ。応答がない。
何、俺、今日一日このまま?
倒れた俺を心配そうにうろうろとうろつく、エリマキとフレッド。
よし、もういっちょ必殺技だ。今度こそ効いてくれればいいけど。
「へるぷみー、もふもふ」
面白いくらいに二人の耳が立つ。はは、そっくり。
フレッドは俺とシンディさんを引きずって、揃えると体でぐるっと囲む。その間にエリマキが寝転がる。
本当は先生を呼んできて欲しかったんだけどなぁ。まぁ、これもこれで良いか。
そうそう。
「エリマキ、シンディさんに蛇の姿を見せちゃダメだよ」
にゃん、と可愛く返事すると、シューと声が変わる。
俺の体を這って、首もとに巻き付く。冷たい感覚が伝わる。可愛いな、可愛い。
「あー、動けねー」
もう今日は一日中空を見ていよう。うん、それがいい。こんな日も悪くない。今の空の色はエメラルドグリーンだ。
DMWの空はよく色が変わる。例えるなら赤から黄色へ、緑から白へ。日が差し込めば、どの色も透き通るような輝きを持ち、夜が近づくにつれその輝きは消え黒に染まっていく。
青みがかった色はあるが、青の一色は見たことなかった。
そういえば、シンディさんは魔素に青一色は珍しいって、言っていたような。なんだろう、青ってなんかあるのかな?
うぅん、なんか秘密がありそうだけど、今はまだわからないな。
綺麗な空だ。白い雲が移ろいでいく。




