37.朝食の用意と失敗(5日目)
ジャガイモの皮を剥き、8等分する。水の入っている鍋に放り入れた。
火をつけて蓋をする。
「んで、煮えるまで待つっと」
吹き零れないように気をつけないとな。
炊飯器を開けて覗く。白いご飯が艶やかに輝いた。匂いがまた食欲を煽る。
昨日の夜にタイマーで今日の朝に炊けるようセットしといて良かった。
「よし、炊けてるな」
手を水で濡らし、塩を満遍なく馴染ませる。熱々のご飯を手のひらに乗せて、両手で軽く握る。
「あっつう」
火傷しそうな温度に悲鳴をあげながら、三角に形作っていく。それをのりで巻いた。
3つほど作ったら、今度は刻んである高菜漬けを混ぜて、また握る。
1皿は塩むすびともう1皿は高菜のおにぎり。合計で6つのおにぎりが出来た。高菜の皿の方はラップをして冷蔵庫に閉まっておく。
「まだ煮えないかな」
ちらりと覗くと、まだ沸騰もしていない。
暇なのでタブレットを取り出して、bookと書かれたアプリを開いた。
昨日アップデートで追加された機能らしい。それに気づいたのが夜でしかも、眠気に勝てずに寝てしまったので開けず仕舞いだった。
本の表紙だ一面に並んでおり、人気作やらなんだりと分別されていた。
検索バーは上に表示されておりそこをタップして文字を入力する。
「しゅ、う、か、ん、ま、ん、がっと」
ポチっと確定する。
「おー!」
週刊発売されている雑誌やら漫画が表示された。こんなにあるものかと若干驚く。
スライドしながらいつも買っている漫画にたどり着いた。そして、表紙をみて顔がにやけた。
「え、アニメ化決定ですか!?マジですか!?いっっっやった!」
俺のお気に入りの漫画がアニメになるらしい。
ピョンピョンと跳び跳ねて、くるくるとその場で回る。この喜びを誰かと分かち合いたい。弟がいたならば彼も俺に賛同してくれただろうに。
鼻息が荒くなるのもまた仕方がないって奴だ。
まずは下のスクロールバーで移動してお気に入りの漫画を開き、読む。次に最初の表紙に戻り、全ての漫画に目を通す。またお気に入りの漫画に戻るというルーチンをする。
「やっぱおもしれぇな!くそ!」
興奮すると口が悪くなってしまうのは、血は争えないということだろうか。まぁ、そんな疑問は置いといて面白さを噛み締める。
ここがベッドの上だったら枕に顔を埋めて、足をバタバタとさせていたところだ。
シューッ
と音がして、鍋を見てみると吹き零れていた。
「やっべ!!」
俺は急いで火を止めて、鍋をどかし布巾でお湯を拭き取る。
「あー、ちょー失敗」
やっぱり火をつけたまま漫画を読むのは厳禁だった。
蓋を取って、中を覗くと若干ジャガイモが崩れていた。




