34.ヒドイ顔
その後、俺達は小屋の中に異動し休憩を挟みながらも、自分の種族についてシンディさんに説明をする。
俺は何となく居心地が悪くて爪先しか届かない足をブラブラと揺らす。母親と隠し事がばれた子供のような心持ちそう思えてくる。
「····鬼人族ですか。聞いたこともない種族です。しかも、魔人族ではなく人族とは」
あー、なんかそれ冒険者ギルドの受付嬢もいってたな。へぇ、シンディさんも聞いたこと無いんだ。鬼人族はプレイヤー独自の種族なんかな。それとも、未開の地の少数民族系だったりして。
俺と対面になるようにテーブルを挟んでベンチに座っているシンディさんは鬼人族の特徴を上げては指を折る。
「つまりは鬼人族という種族は慢性的な魔素不足が起こっていると考えた方が良いですね。魔素の容量が大きい為に進化した種族とも言えるでしょう。本当に貴重な種族だと思います。····というか、味覚障害があるなら先に言って下さい!」
「····すみません」
擬音語で例えるならプンスカといった感じにシンディさんは怒っている。
でも、あの雰囲気で「不味いです」なんて言えないよ。しかも、会ったばかりだぜ。あー、俺の行動が本当に空回りするなぁ。まぁ、いつもの事なんだししょうがないか。
「これからは、こういう隠し事は無しですよ」
「····はい」
しおらしく頷けば、「解れば良いんですよ」と柔らかな笑みを作った。
こういう姿を見ると多分、シンディさんは姉気質なんだろうな。
雰囲気が柔らかくなった所を見計らったように、にゃぁ、と鳴く声が聞こえた。足にズシッとした重りが乗る。
下を見ると太股にエリマキが乗っていた。エリマキさんも瞬間移動ですかね?
「エリマキ、お前今までどこに行っていたんだ?」
なんか、俺の回り、スペック高くないか?気のせい、じゃないよな?ペットであるエリマキも俺より高いってどういう事なんですかね?
俺の言葉に返事するようにまたにゃんと鳴く。その可愛らしい姿に難しいことはどうでも良いかと疑問を放り投げた。
エリマキはするりと軽やかに俺の体を登り、首元までたどり着くと、顔を近づけてすりすりと頬に擦り付けた。
「それは猫、ですか····?」
見ればわかるような事を聞いて来て不思議に思うが俺は「はい、そうです」と簡単に答えた。
「私には蛇に見えるんですが」
「え?」
俺はそういわれて、そっとエリマキを触るがやっぱり俺には猫にしか思えない。
あ、これさっきも見た顔だ。
シンディさんは眉をひそめて思いっきり、引いてる。
いや、その顔、エリマキにはしてないでください。可愛い可愛い猫様ですよ。そのうち、俺にもふもふの手触りにされる猫様ですよ?
なんて、度胸もない俺には言えるはずも無かった。




