32.魔法のチュートリアル
「何をしているんですか?」
無心で宝石を拾っていたら、声をかけられてビクッと体が跳ねた。
シンディさんは朝っぱらから先生の後を追い回して、森の中に入っていったが。
「帰ってきたんですか、····ア、アハハハ」
帰ってきていたらしい。集中しすぎて気づかなかった。
盗んでましたって言えるわけねぇよ。どうすんだ、これ。拾うおこうなんて考えた奴誰だよ。あ、俺か。やめときゃ良かった。マジで安易な行動だった。
「魔石を何に使うんですか?」
ませき?なんだそれ?····あー、ギルドの受付嬢が言っていたような?この反応を見るにそんな貴重なものでもない?
彼女は一つ手に取って眺めた。
「エリマキの···じゃなくてペットの餌としてあげようかなと思いまして」
「確かにスライムの魔石は餌として丁度良いですよね」
「へぇー、そうなんですか」
焦って損したな。てか、こんなに綺麗なのに
「知っていたのでは?」
「いや、実は俺のペットが食べたので拾っていただけなんです」
「なるほど。では、魔石というものは知らなかったんですね?」
「はい」
俺が頷くとシンディさんは口に手をあてて考えはじめた。
「異世界人とは、中々不思議な存在ですね。何も知らずのまま異世界に放り出して、好きにさせておく。····グリムの王は何を?」
「シンディさん?」
「いえ、何でもないですよ」
暗い顔をしていたので、声をかけるとパッと笑顔に戻った。
「そうですね。ここを一緒に使わせていただくお礼として魔法の初歩を教えたいのですけど、どうでしょうか?」
「はい、お願いします!」
思ってもない提案だった。俺に断る理由もなく、二つ返事で了承する。
「では、外に行きましょうか」
俺はシンディさんに連れられて、外へ出る。
朝、使った桶は既に片されていた。多分、フレッドかウィンがしまってくれたのだろう。やっぱり先生と同じでハイスペックですね。もしや、これがこの世界の標準?え、凄くない?
小屋から少し離れた場所で立ち止まった。
「ここら辺で良いでしょう」
彼女が人指し指を立てると緑色の揺らぎが集まった。そこに時々赤色が混ざる。
「私達の体には魔素が流れています。今、私の指先に集まっている色が私の魔素です。魔素は私達の命の源であり、魔法の行使するための魔力や身体能力の向上にも使われます。」
「魔素は命の源····」
俺は覚えるために大事な事は復唱する。
「はい、そうです。魔素を蓄えられる量は人それぞれ、種族それぞれによって違ってきます。魔人種、獣人種、人種の順番で貯められる量が多く、魔人種、人種、獣人種の順で魔力として消費することができます。身体能力の高さは獣人種、人種、魔人種の順で高いとされています」
つまり、俺は人種だから微妙な位置にいるって事かな?
「また魔素には色があり、性格によって出せる色が決まってきます。その色が魔力として扱えます。私の場合は緑と赤ですね」
「性格で違うんですか」
「はい。基本の色は赤、緑、白、黒の4種類です。その色が混ざりあったりしてその人だけの色があるんです。稀に青一色を持つ人もいるんですが、本当に稀なので気にしないでください。では、カカオさんの魔力が何色か出して見ましょう」
シンディさんは出していた魔力を消して、胸に手を当てた。
「魔素が一番多くあるのが心臓の辺りです」
俺も真似して手を当ててみる。
「精神を統一させてみてください。自分の色が何色か分かってくるはずです」
なんだと····!?精神統一なんて俺に出来るわけないだろ!




