27.閑話(4日目)
風が吹き、ざわざわと葉と葉が擦れ合う音が響く暗い森は、朝日さえも遮ってしまう。木の隙間から、次々に魔物が襲ってきていた。
「強くはないけど、ここまで魔物が多いと疲れるな」
ミカヅキが剣を振り回す。剣は魔物の血で赤く染まり、飛沫となる。
「そうね、休む暇くらい与えてくれないかしら?"傷を直せ、愛しい光たちよ"」
サクラの杖からポワポワと小さな光の玉が出て、ミカヅキ達の傷に触り消えると傷は跡形も無くなった。
「コイツらウザい····。"燃やし尽くせ、私の炎····"」
ヨルは静かに呪文を唱えると、手のひらから火の玉が現れ、四足獣の魔物に投げつけ燃やす。
「あー、もう邪魔臭いわね!」
大男に似合わない口調で拳を叩きつける。簡単に魔物は吹き飛んだが、すぐに起き上がった。
「···サカヅキ、言葉」
「おう!すまん、間違えた!」
ヨルに指摘され、頷くサカヅキは拳同士を付き合わせ、力を貯める。
「しかし、これだけ多いって何か変ですよね」
ノブナガは手に巻き付けた柔い糸を四辺に巡らせて、少しでも味方に向かってくる敵を遅らせている。
「まぁ、レベル上げには丁度いいけどな!」
高く飛んで、剣で飛んでいる鳥の魔物を刺し貫く。
「···魔石もガッポガッポ。"火を灯せ、その剣に"」
ミカヅキの剣から火がゴウゴウと、貫いた鳥に燃え移り命が絶えると鎮火した。ミカヅキは剣を降り、死体を落とす。
「焼き鳥かな?」
「····黒こげ過ぎて食べれない」
「そもそも魔物は食べちゃダメよ」
「くっそー、肉食いてぇ!」
「そろそろ街に戻ってみようかしらね?」
「では、わっしが隙を作って魅せようぞ!」
「僕も手伝います」
「····お願い」
戦いながらも軽快な会話が続く。
彼らは昔馴染みであるが故の阿吽の呼吸で互いを補う。また、新しく入ったノブナガも空気を読むということについては長けているので、彼らの邪魔にはならない。
「行くぞぉ!どっせええええい!」
サカヅキの拳を地面に突き立て、その振動が地面を揺らし、一辺をふらつかせる。さらにノブナガが糸を張り、逃げ道を作る。
「今のうちに撤退するぞ!」
魔物たちの一瞬の隙をついて、走り出す。森を出るまでひたすらに。途中で会う魔物は無視をして、立ち向かってくる奴は糸を操り、魔物同士で戦わせるようにする。
徐々に森が開け野原に戻っていき、ようやく落ち着く事が出来る。彼らは息も絶え絶えに、座り込む。汗を拭って、息を整えた。
「聞いた話と違う····」
「確かに黒い魔物のせいで魔物が少なくて強いって言ってたよな?」
「ふむ、彼らにも分からないことがあるという事だ」
「もうちょっと情報収集するか、仲間を集めなきゃダメね」
「····でも魔石がじゃんじゃんばりばり」
ストレージから魔石を両手一杯に取り出して目をキラキラと光らせる。それをはぁとため息をついて、サクラは空いている袋を差し出し、
「はぁい、ヨルちゃんの魔石は取り上げましょうねぇ」
「私の資金····」
ヨルはしぶしぶながらも入れていった。ミカヅキ達はそれを見て苦笑するしかなかった。




