11.スライムの色
リアルで昼寝して、うっかり爆睡かましてきました。目を覚ましたら、夕方通りすぎて夜になってました。ちょっと焦った。かなり寝てたんだな。
「ファ~ア」
未だに寝ぼけてるなぁ。
で、なんか知らんが、俺の頭の下にスライムがいる。なんで枕になってるんですかね?ポヨポヨしてて気持ちいー。いうなれば、ウォーター枕?
色は透明でひんやりしている。こいつ、あれだ。昼間に湖を行き来してたやつだ。
ツンツンと触る。無色のスライムはフルリと体を震わせた。
いつまでも寝転んでいてもつまらないので、体を起こすと、無色のスライムはもぞもぞと尻の下に入ってこようとする。····なにしてんの?座ってもらいたいの?Mなの?と、困惑していたら体が持ち上がって、無色のスライムは尻の下にいた。スライム先輩は俺よりも強いんでしたね。クッションみたいで座り心地が良いところが腹立つ。
徐々に月が上がっていく。風も冷たくなり、少し肌寒い。
緑色のスライムと赤色のスライムが監視役を交代するみたいだ。赤色のスライムがうろの入り口にいると、風が暖かくなった。もしかして、俺の為?なんか、こういう気遣いは嬉しい。
それにしても、うろの中が暖かくなったってことは、あのスライムは、火とかなんかの魔法が使えるっぽいな。いや、体質かもしれん。
つまりは、スライムって色で得意魔法や属性があるってことか?赤色は火で、無色は水、緑色は草とか植物系···?じゃあ、あの青色の先生はなんなんだ?空とか?灰色とか白とか黒もいるし、もうこれわかんねぇな。
そういえば、色ごとに行動も違っていたな。赤色は赤色同士でぶつかり合っていたし、無色は殆ど湖から離れなかった。灰色は全く動く事なくじっとして、黒と白は混じりあっては、分裂してまた黒と白になっていた。
ワォーン
突如、静かな森に獣の遠吠えが聞こえた。獣の殺気が辺りの木々をざわめかせる。それに呼応するようにスライム達がピョンっと跳ね一ヶ所に集まっていく。
俺はとっさに《気配察知》を使った。瞬間、ぞわっと寒気立つ。何かが俺を狙っているような感覚。それでも、構わずスキルを使う。
スライムとは別の気配が1、2、3····7匹分ある。その気配がスライム達を囲むようにあるので、多分スライムを狙っているのだろう。
そして、今、そいつらのヘイトを稼いでしまったというわけだ。殺気が俺に向けられているのは気のせいでは無いはず。意思と関係なく、震え、汗が出てくる。
うろの監視役のスライムが近づき、寄り添ってきた。俺はそのスライムをひっつかみ、襲いくる恐怖を耐える為に抱き締める。ポカポカと暖かいスライムが心の拠り所だった。
ガサッと、草を掻き分けいる音が、徐々に近づいて来る。吐き気がした。スライム達も俺も死んでしまうかもしれない。
圧倒的に獣の方が強いのに、スライム達は逃げなかった。バカだろ、逃げろよ。
「なぁ、逃げないのか」
抱き締めていた赤色のスライムに問う。けれどスライムは分かっていないのか、俺の腕に収まったままだ。
「逃げろよ、今なら俺でも逃がしてやれる気がする」
うっかり愛着わいてしまい、そんな言葉が出た。
俺が獣のヘイトを稼ぎ続ければ、獣はこっちに向かってくるはずだ。多少の時間が稼げる。····か、稼げるか?少し不安を持ってしまったが、俺は心に決める。
「ほら、逃げろよ」
無色のスライムと赤色のスライムをうろの外に投げ、《気配察知》を使い続ける。ガタガタと震える体を抑えて、反抗心を奮い立たせる。やってやる。スライム達が逃げる隙をつくってみせる。




