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混ざり会う世界~テイマーになったらテイムされた~  作者: からかさ


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98.餌やり

クフクフとエリマキの呼吸に合わせて上下する腹を堪能していたが、湖にいる鹿を思い出した。このままエリマキのお腹を堪能してても良いけど、鹿の様子を見ておきたい。元気になってたらいいなとは思う。


「よし、見に行こうかな」


顔を上げて、煙管を吹かす。俺も中々さまになって来たんじゃないか?


「フレッド、湖に行きたいから乗せて」


近くで寝そべっていたフレッドを撫でる。フレッドは俺の言葉に頷いて体を起こし、一度伸びをする。それから、あくびをして体を震わせ、俺が乗りやすいように体を屈めてくれる。

フレッドの毛を掴みながら、カカオ君の体を乗せていく。煙管のおかげでよじ登れてようになったのは存外嬉しい事だった。

エリマキは俺が体を起こしたことに少し不満げに、にゃん!と鳴き、蛇になってシューっと舌を出しながら、俺の首にゆるく巻き付いた。


体勢を整えて、「レッツゴー」と言いながら、右手を上につきだす。フレッドはその掛け声を聞いて、歩き出した。

夜の森は、太陽がある時間帯とはまた違った景色だった。


自分の呼吸さえも煩く聞こえるような静寂。照らすのは数多の星と大きな満月だけ。それは簡単に木陰になり、ともすれば自分が夜に溶けてしまうのではないかと思うほど暗くなる。


なんでこう暗くなると、瞼が重くてなるんだろうね。お昼寝したはずなのに、眠くなってくる。クワァとあくびをすると、エリマキが顔を頬に寄せた。

ひんやりとした鱗が肌に当たって「ぎゃっ」っと、悲鳴をあげる。さっきまでの眠気が何処かに吹っ飛んでいってしまった。


「あー、ありがとう」


跳ねる心臓を押さえて、お礼を言う。でも、正直なところそういう眠気覚ましは止めて欲しい。心臓に悪い。

エリマキが好意でやったことだから、その不満は言えないんだけど。

俺は苦笑いをして、疑問に思う。あれ?エリマキの鱗はここまで冷たかったかな、と。んー、と考えるが何も分からず、エリマキの不思議さに拍車をかけるだけだった。


そうこうしているうちに、湖まで着いた。湖の回りは少しひらけており、月の明かりで照らされている。やっぱ背中に乗せてもらうと早いな。

俺は背中から降りて、鹿に近寄る。まだ自由に動けないようで、胴体の半分は湖に沈んでいる。

近寄ったことに気づいた鹿は重そうな瞼をゆっくりと持ち上げた。やっぱり綺麗な緑色だな。


「大丈夫か?」


手触りのよい黄色い毛並みを触る。キューともギューともとれる高めな音が鹿から聞こえてくる。何の音か分からず、耳をすまして聞いてみる。それが何回か続き、もしかして鳴き声かも知れないと思い付いた。けれど、鳴き声が何を意味しているのか分から無かった。

悩む俺の体からエリマキが降りて、猫の姿になり、草に猫パンチをしていた。それから、首を降りながら俺と鹿と交互に見る。

その行動を繰り返すエリマキにはっとする。


「もしかしてお腹空いてる?」


言葉に反応して、また高い鳴き声を出した。そこら辺に生えている草を千切って、鹿の口へ持っていくともっしゃもっしゃと食べ始めた。

時間をかけて草を咀嚼して、無くなるとまた鳴き始めるので、また口に草を放り込む。


俺は鹿が満足するまで食べさせてやりたかったが、ログアウトの時間が来てしまった。俺は急いで草を摘み、なるべく鹿の近くに置いておく。


「ごめんな。もう時間なんだ。草は置いとくから、自分で食べられるなら食べておいてくれ」


そう声をかけてから、いつものうろの中に横たわる。その隣に、エリマキが丸くなった。

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