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剣に封印されし女神と終を告げる勇者の物語  作者: 星時 雨黒
第1章 裏切りの聖王
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第47話 王の在り方

※題名を少し変更させて頂きました


【変更前】RAINY HAWK―終を告げる勇者の物語―

【変更後】剣に封印されし女神と終を告げる勇者の物語


※主人公ヴィレンの技名を変更しました


一回目(ファースト)終焉(ピリオド)死葬叫終曲(フィネラル・フィナーレ)』→四番目(クァット)終焉(ピリオド)死葬叫終曲(ペルセフォネ)


二回目(セカンド)終焉(ピリオド)冥府(ツェーン)眷属(ハーデスター)』→七番目(セプテム)の終焉『冥界十眷属(ハデス)


三回目(サード)の終焉『防御不可(バイオレンス)一閃(ロスト)』→十番目(ディコード)の終焉『魔象断絶閃(シヴァ)



 黒の王国を出発してから10日目の昼下がり。現在俺達はセレネラを出立し、南方へと森中を進んでいる。

 魔王との約束の期日までは残り20日ある。しかし大戦が始まってしまえば、残り日数など関係なく最前線へと駆り出される約束になっている。幸いまだ大戦が始まったという報告はセレネラに届いていなかった。

 大戦がいつ始まるかわらない現状、ヴァナラの群れを無事盗伐し終え、その日のうちに戴冠式が執り行われた。式には緑の王国最強の〈3本の弓〉と〈影〉が集結し、セレネラに収まりきらないほど多くの国民が押し寄せた。

 それもそのはず。一生に一度立ち会えるかどうかの歴史的瞬間なのだ。流石に他国の者である俺達は戴冠式を間近で見ることは叶わなかったが、その後の宴には席を用意してもらえた。ぶっちゃけると師匠が強引に参加し、それに預かるようにして俺達も宴に参加したわけなのだが・・・・・・と、昨日あった出来事はそんなところだ。

 

「あれで本当に良かったのか?」


 俺は右前方を歩く黒髪短髪の少女に声をかけた。少々言葉足らずだったような気がするが、伝わるだろ多分。


「良くなかったっすかね?」


 今日の朝、誰にも見つからないよう日の出と共に出発したことについてと、その行動を読んでセレネラの入り口で待っていたリーサについて、だったがどうやら伝わったらしい。

 ウィーは首だけ振り向く。その表情は笑っている。初めてこの笑みを見た時から、どことなくカルラの笑みに近いものを感じた。雰囲気はマーリンの方が近いか。

 見た目と中身の年齢が合っていないみたいな、そんな感想を胸に抱いた。言葉のやりとり一つ一つから、表情や身体を動かすといった細かい動作に至るまで。彼女の檸檬色の瞳が俺を捉えて離さない。――が。

 

「いや、あんたがいいっつうならいいんだ」


 俺は別にそんなことを気にするような男ではない。ウィーがいいと言うならそれまで。そこから先、俺が口を出す権利はない。

 俺は今朝の記憶を呼び起こす。

 リーサは止もせず、ただ一言「行ってらっしゃいませ」とだけ告げた。だがその一言には、とても多くの『意味』が詰っているように感じた――。

 長い間お疲れ様でした、という(ねぎら)いの意。

 あなた1人に全てを押し付けてしまい申し訳ありませんでした、という謝罪の意。

 これからは私達皆であなたの守ってきた物を背負っていきます、という憂いのない意。

 そして今までありがとうございました、という感謝の意が込められていた。

 それに対してウィーも一言で「行ってくるっすよ」とだけ。リーサとは反対にウィーの一言にはただ、後は任せたっすよ、と。

 これが理想の『王』の形ではないかと俺は思ってしまった。それほどまでに、あの一瞬には心を打たれたのだ。

 俺は1番前を行く赤い髪の男を見据えた。

 あの男は皆が反対する中、己の我儘を言い通してついてきたのだ。ウィーに比べると、頭が痛くなってくる。

 しかしフウガもライガも、そしてマーリンも。師匠のことをよく理解しているからこそ、自らの『王』の意思を尊重した。逆に師匠もフウガ達を信頼しているからこそ、我儘を言える。

 ウィーと在り方は違えども、師匠も歴とした『王』なのだ。

 ウィーはにっこりと笑った後、


「そんなことより、次はどこに行くつもりなんすか?」


「海っしょ!」


「海だ」


「海かな?」


「海ですかね」


 最後に「だ、そうだ」と皆の意見をまとめ、ウィーの方を見る。

 黒の王国の使者たる俺達に、赤の王国の使者たる騎士王、そして緑の王国の使者たる元・棟梁。白の王国を除き、消去法で残るは青の王国だけだ。


「まぁ、メンツを見る限りそうじゃないかとは思ってたんすけどぉー」


 そうじゃないかと思ってたなら、どうして聞く。つか、今日俺達は青の王国のある南方に向かって進んできたわけなんだが・・・・・・。

 一度間を開けたウィーは、青の王国に行くに辺り、とても重要な問題を口にしたのである。

 

「皆さん、いったいどうやって"海を超えようとしてるんすか"?」


 それは、俺が後へ後へと持ち越してきた問題だった。とりあえず海に行き着けばなんとかなんだろ、と考えないようにしていた問題だった。


「そこだよなぁ、問題は」


 と、カルラが片手で頭を押さえる。


「え、それのなにが問題なの?」


「逆に聞くんすけど、アリシアさんはどうやって海を超える気だったんすか?」


「それは、船とか?」


「残念ながら海は青の王国の領海っす。船付き場が見つかれば領海の侵略者と見なされ排除されるっすよ」


「それなら私達で船を作って……」


「そいつも無理だ姫さんよぉ。青の王国の周りにゃ侵略者対策で御大層な攻撃魔法陣が敷いてある。ありゃかなりの代物だ。船は壊され危うく溺れ死ぬところだったぜ」


 なんだその経験者は語る、みたいな。緑の王国の抜け道知ってたり、掘れば色々ヤバそうなのが出そうだ……。


「んー・・・・・・そうだ! フィーナちゃんがマーリンさんみたいにわーぷ、って」


「それも無理ですアリシアさん。あの魔法を使えるのは先生ただ1人ですから」


 案を出すには出すが、全てを却下されるアリシアが流石に可哀想に思えてきた。


「フィーナの氷魔法で道を作ったりすんのはできねぇか?」


「それも無理ですね、兄さん。道を作れたとしても数分で溶けてしまいますし、それ以前に人が乗れる分厚い氷の道を作るには圧倒的に魔力(リア)が足りません」


 それもそうか、と。


「リヴィアちゃんの能力で飛べたりするようなのとかは?」


「ないな。それよりもお前が青の国まで泳いでいって道を開けてもらうのが現実的だと思うが」


「おお、それいいアイデアだな」


「採用っすね」


「んじゃそれで行くか」


「決まりだね」


「頑張って下さいカルラさん」


 投票の結果、全員一致でそれに決まった。

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