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剣に封印されし女神と終を告げる勇者の物語  作者: 星時 雨黒
第1章 裏切りの聖王
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第34話 悪魔の木

 ボインな姉ちゃん忍者の後ろについていくこと数10分。まだ目的地は告げられていなかったが、緑の王が待ってるってことは王城だろうな。で、多分アレがそうなんだろう。

 太さ10メートル以上の大木が立ち並ぶ中で、それらよりも一際大きく、異質な雰囲気を醸し出す『巨木』が存在していた。

 アレを巨木と言う分類にくくってしまっていいのか不明だが、とりあえずでかい。でかいでかい、バカでかい。でかいなんてモンじゃねぇ。樹齢数千年、いや数万年。世界の誕生と同時に生まれたと聞いても、「あぁやっぱりか」ぐらいの老木である。


 思ったとおりボインな姉ちゃん忍者はそのまま真っ直ぐに悪魔の木に向かって進んでいった。近づくにつれ、巨木の根本に2人ほど人影があるのに気づく。

 服装、雰囲気を見る限り片方は俺達を先導するボインな姉ちゃんと同じく忍だろう。そしてもう片方は人族のような身なりをしているが、多分あれは――。


「ねぇねぇヴィレンくん、もしかしてだけどあの人ってさ」


「もしかしなくともエルフだな」


 知慮深き透緑色の瞳に、頭の後ろで1つに束ねた白金色の髪。身長は俺と同じかいくらか高い程度。極めつけは人族とは異なる長い耳。間違いない。森の妖精とも呼ばれるエルフである。それにあの非常に露出の多い服装。間違いない、エルフである(たぶん)。


「やっぱりかぁ。初めて見るけどすっごい可愛いね……!!」


 エルフも元々は黒の王国、昔でいう魔界に住んでいたのだが、赤の王国にいた竜人種(リザードマン)と同様、五大国設立と同時に種族ごと緑の王国に移ったらしい。なので忍同様、エルフを見るのは今回が初めてである。


「可愛いというよりエロいな。あれではお前が欲情するのも無理ないか」


「してねぇよ」


 いつも思うが、こいつの読みは的確すぎる。


「やっべ、エルフじゃん。めっさ可愛いな」


「いや。あのエルフの隣にいる姉ちゃんもなかなかのもんだぜ? お前はどっちだアレス?」


「ハッ。お前らと違って俺ッ様にゃあ心に決めた女がいんだ――」


「――まぢだな、よく見りゃ隣の忍も可愛いな」


「だろ? だがあのエルフの姉ちゃんもいい身体してやがる。いっかい抱いてみてぇな」


 前の方ではカルラと師匠の会話が弾んでいるようで、その後を歩っているフィーナは無言で自分の胸を抑えていて。。



 悪魔の木の手前までくると、2人は軽く頭を下げた。俺はてっきり、他の大木と同じようにこの巨木にも中があるのだと思っていた。だからこの2人の女性は門番か何かだと。

 そう、勘違いしていた。


「では皆様、"こちら"です」


 眼前にそびえ立つ悪魔の木を駆け登り、その木からでている枝に飛び乗ったボインな姉ちゃん忍者が涼しげにそう言ったのであった。


 ハッハッハ、まぢかよ……。



✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽



 考えてみると単純なことだった。こんなバカデカイ悪魔の木が存在するのならば、リントブルムの王城から森を見渡した際に、1本だけ頭の突き出た巨木を見てもおかしくなかったのに。

 では、なぜ見えなかったのだろうか。その答えはとてもシンプルなもので。


 高さ数千メートルはあるかと思っていた巨木は、数百メートル登った地点、つまりは他の大木と同じ高さで分岐していたのである。

 つまりは俺が1本のとてもとても大きな巨木と勘違いしていたものは、数本の大木同士が合体してできていたというだけの話であった。



 頂上――いや、分岐地点に到着した訳だが。なんつーか、嬉しいような、それでいて残念のような、なんとも言えない気持ちだ。

 しかし、これはこれですごい。6本の大木がここ、つまりは頂上で別れているのだが、どういう原理か真平らなのである。両手を重ね合わせ、そのまま180度水平にしたような――。


「ようやく来よったか。っす」


 しわがれた声。瞬時に視線を送ると、そこにいたのは白い髪を伸ばし、白い髭を生やした老人だった。

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