表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣に封印されし女神と終を告げる勇者の物語  作者: 星時 雨黒
第2章 復活の帝国
134/178

第133話 ここは任せて先に行く

 帝国兵の壁をなんとか突破した俺達4人は、平原を駆け抜け、霧の洞窟へと続く湿地地帯に足を踏み入れた。

 視界は白闇に支配され、5メートル先が霞んで見える。

 自分達が今どこを進んでいるのか。道はこれで合っているのか。

 先の見えぬ濃霧に不安を覚える俺達とは裏腹に、先頭を行くカルラの足取りははっきりしていた。

 カルラにとっては2度目の濃霧。道案内としてこれほど頼れる存在はないだろう。

 少しして、霧の洞窟の入り口を発見し、洞窟手前で足を止める。

 息を整え、4人で頷き合い、そして洞窟の裏道――即ち帝国領へと侵入した。


 侵入してすぐに、頬が引き攣った。


「うっはーこりゃまた……」


 先頭のカルラもまた苦笑いを浮かべる。

 俺達の眼前に広がっていたのは、黒の群れ。


「なんて数だ……」


 端から端までズラッと並ぶ、予想以上の数の帝国兵に、思わず口元が歪む。


 さてどうやってこの場を乗り切るか、俺が思考を巡らすよりも先に、氷華が帝国兵を襲った。

 肌を刺す冷気。次いで上がる多々の悲鳴。

 湿地という環境下に置いて、氷魔法はこれ以上ない程の威力を発揮する。


「先に行ってください兄さん!!」


「うん。ここはわたし達に任せて、ヴィレンくんはリヴィアちゃんの元へ!」


「フィーナ、アリシア……」


 自信満々に言い放つ二人に、俺は少しだけ考える。

 気がかりなのは後方岩盤の上に立つ少年の帝国兵。七帝将には及ばないにせよ、魔王軍幹部達と遜色ない雰囲気を纏っている。奴にさえ気をつければ、この場はどうにかなるはずだ。

 それに、


「へへっ。また後でな」


 コイツもいる。心配する必要はない。


「ああ。任せる!」


 フィーナ、アリシア、カルラと共に道を開きながら、俺は帝国へと足を踏み入れた。



 リヴィアがどこにいるのか分からないが、それなりに偉い奴を捕まえ聞き出せばいいことだろと。

 安易な考えで殺伐とした通路を進んですぐ、壁にもたれかかって仮眠を取る男を見つけ、俺は足を止めた。


「寝てるとこ悪いけど、道を訪ねたいんだおっさん」


 すると男は気だるそうに欠伸をしながら、


「そろそろ来る頃だと思ったぜ。永久の勇者様よ」


 口角を上げ、腰の得物に手をかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ