表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣に封印されし女神と終を告げる勇者の物語  作者: 星時 雨黒
第2章 復活の帝国
133/178

第132話 戦乱

 瞬きの一瞬だった。エルザベートの振り下ろした剣が、帝国兵を薙ぎ払い、戦場を切り開く1本の道を作り上げた。

 唖然とする戦場。悲鳴を上げる戦士達。


「………!!」


 エルザベートの考えは俺にはわからない。

 いや、エルザベート以外の誰にも理解できないだろう。


「あ……」


 咄嗟に足を止めかけたアリシアの手を掴み、俺は道を駆け出した。カルラとフィーナも遅れず続く。

 戦場を抜ける最短ルート。この道が塞がるのも時間の問題である。

 見す見すこの基を逃す訳にはいかなかった。

 リヴィアの元に辿り着く。

 それだけを目標に、俺は道を突き進んだ。





 霧の洞窟北方。赤の王国岩砂地帯 通称"赤砂(あかざ)の大地"にて――。


「焼き尽くせ!『不死鳥(フェニクス)』!!」


「吠えろヲリキス!《出力60%(ヴァーディバウ)》!!」


 フウガの構えた銃口から炎を纏う不死鳥がユリウスを狙う。

 一方ユリウスは不死鳥に対し真っ向から対峙し、背丈程もある朱色の刀身の大剣を中断に引き、横薙ぎに空を断つ。

 振り抜かれた大剣から放たれた衝撃波が、迫る不死鳥と衝突し、激しくせめぎ合い、相打ちに散る。

 直後。幾度目かの強烈な爆風が吹き荒れ、赤砂が戦場を呑み込んだ。


「焦るな騎士よ!! 視界が悪いのは奴らも同じだ!! 落ち着け! 冷静に周りを見ろ!!」


 そんな2人とは離れた後方。フウガに騎士団の指揮を任されたライガが、視界を埋め尽くす赤砂に混乱する騎士達に号令を叫んだ。


「勝てよ、フウ兄……」


 自らの役割を果たすべく、大盾を構え直す。



「貴様の力はこの程度か? 紅炎騎士団の団長がこれでは、騎士団全体の力量も知れたものだなフウガ。貴様如きでは相手にならん。ザインを出せ」


「ふははははっ! 面白い冗談を言うな? 元・団長さんよぉ!!

 親父はリントブルムさ。二日酔いで寝てるぜ。アンタの相手は俺で十分だ!」


 そうしてまた、炎と斬撃が激しく衝突する――。





 黒の王国平原地帯――。

 黒の王国魔族軍と帝国牙部隊が争い合う中心にて、二匹の"鬼"が対峙していた。


「グハハハハッ! この程度かバルガー? この程度でしかないのか!?」


 ゼストが拳を叩きつける。余波で地面が抉れ、衝撃が付近の敵味方諸共全てを吹き飛ばす。


「抜かせゼストッ!! お主だけはワシが命にかけても首を取る!!」


 そんな中足を踏みしめ牙をむき出し、バルガーだけがゼストに飛びかかった。

 その豪腕が握り締めるは、鬼牙専用にあしらわれた黒曜石の戦斧《鬼殺し》。


「キェェェェェッ!! 死ねぇぇえい!!!」


「グハハハハッ! そうだ! いいぞバルガーその調子だ! その調子で我を愉しませよッ!!」


 戦場に2匹の雄の雄叫びが響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ