表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛喫茶と僕の初恋  作者: まときち
1杯目
18/18

17話

目が覚めると頭に型が付いていた。


昨日の記憶が蘇りつつ時計を確認してみる。


ギリギリでアウトだった。


「やってしまった!」


だが僕にはまだ急いで登校する理由がある。


それは1〜2分の遅刻程度なら信号機とかおばあさんの荷物運びとかいう大義名分があるからである。


無論遅刻扱いなのだが、それでもその場だけは切り抜けられるので、僕は朝ごはんも食べずに制服だけ着て玄関のドアを開けた。


「宿題は詰め込んだ⋯⋯。教科書は誰かに借してもらおう⋯⋯。あとは走るだけ⋯⋯!」


走る。ただひたすらに走る。


状況的にペース配分を考えるべきだが、そんなことは寝起きでは分からない。


演劇のように場面設定をするとしたら春香に追いかけられるような場面だろうか。

そんな雑念で少しでも加速しようと暗示をかける。


「あっ!ちょっとコラ!待ちなさい!」


気のせいか春香の声が聞こえた僕はひたすらに走る。


「だから待ちなさいって言ってるでしょ!それともアタシは無視なわけ?」


背後からの幻聴はリアリティを増し続ける。というか本物の春香の声に聞こえる。


あまりの恐怖に後ろを振り返ると春香がいた。獲物を狩らんとばかりに全速力でこちらに向かって走ってきている。


「やっとこっち見た!コラ!待ちなさいってば!」


少しだけ時間がゆっくりと流れている感覚に落ち、目が覚め頭が透き通るように冴えていくのが分かる。


自分や周りの事がさっきまでとは段違いにはっきりしている。


そして僕はいつの間にか走るのは登校のためではなく、生命活動のためと気付かされた。


「こんな所で死んでたまるかっ⋯⋯!」


石に(つまず)き、赤信号の時は進路を変更したり、死に物狂いでどうにか登校した後、後から追いかけて来た春香があることを教えてくれた。


「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯。⋯⋯アンタは知らないでしょうけど、今日は8時登校じゃなくて8時20分登校よ?せっかく教えてあげようと思ったのにいきなり走り出すじゃない⋯⋯」


()えるしかなかった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ