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恋愛喫茶と僕の初恋  作者: まときち
1杯目
11/18

10話

「突然話が変わってしまってごめんなさいね。戸惑わせてしまいましたか?」


 無論その通りである。


「そもそも僕は高校生ですけど今まで恋愛をしたことがないのですが……」


「そうだったんですか。ではこちらの鏡を見てください」


 マスターが示した先には手鏡より一回り大きい鏡が置いてあった。


「ではお客さんの顔が赤いようですけれど、この赤みは一体何から来ているでしょうか」


 そう、僕の顔はとても赤みがかっていた。


 右頬にパーの形で。


 とても恥ずかしい跡なのだが、別に恋愛によってできたものでは無い。


「これはある友人から行き過ぎた喝を入れられまして……」


 この顔を見ると春香に仕返しをしたくなってきた。


「違いますよ。確かにその顔の手形は酷いものですけれど……。顔全体の話ですよ。 ほら、いつもよりお顔が赤くなっていませんか?」


 平手打ちを食らったことを説明するだけでも恥ずかしかったのに、話を勘違いしてしまい僕の顔はさらに赤くなった。


 しかし思い返すと鏡で最初に見た顔もいつもよりかなり赤かったような気がした。


「確かにそうでしたね……。でもそれとなんの関係があるんですか?」


「そうですね。では顔が赤くなっていた原因を考えてみてください。そしたら分かるはずです」


「私の感なのでもしかしたら違うかもしれませんが」、とマスターは付け足す。


 しかし顔が赤かった理由など学校の時にしていたのだ。


「それは階段を走っていたからですよ」


「それは違うと思います。 もう時間は十分たっていませんか?」


「確かにそうですね……」


 マスターの言うことは正しい。では何が原因かと色々と考えてみた。


「ここに来るまでに顔が赤くなったとかですかね……」


「その制服から見てあなたの学校は星空高校でしょ?」


「はい。そうですけど」


「ならここから歩いて4、5分のはずです。そこまでは赤くなりませんよ」


「走ったりとかしたら赤くなりませんっけ?」


「ならあなたは走ってきたんですか?」


「あ……」


「そもそもあなたは汗をかいていないですよ。 日焼けをした感じでも無いですしね」


 色々な答えを探してみるが、どれも外れていく。


 マスターに誘導尋問されているようで何か怖かった。


「あなたは僕が言った恋をしたということから逃げていませんか? 別に恥ずかしいことではないと思うんですけどね……」


 マスターのため息混じりの後半なんて聞こえなくなるほどその理由は当てはまっていていた。


「でも僕が恋をしたなんて、正直に言って分かりません」


「大丈夫ですよ。 これから少しずつ探していきましょう」


 恥ずかしくはあるのだがこの場から逃げることはもっと恥ずかしい気分になる気がするので、僕は縦に首を振った。

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