シフト -真理を映す目-(raki &竜司、2010/12/05)
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○あらすじ
狂喜する少年、恐慌をきたす女、伝染する医者、推論する精神学者、世界を転換する生物学者、そして真実を追う記者。
六人のエピソードは、次第に一つの答へと収斂する。
人類に下された「審判」は世界にどんな変化をもたらすのか。
今、見つめ直すべき人間の在り方とは。
全てが今、シフトする。
人類と宗教の在り方を問う現代サイエンス・フィクションです。
○登場人物
桐崎義光……医師。ウイルスの脅威に最初に気づいた人物であり、彼自身も感染してしまう。
田中涼子……編集者。超常現象に一番最初に気づき始めた女性。中盤から話の重大な役割を背負う。
渡部秀真……なんにでもゲームをプレイする感覚で取り組む学者の鑑。奇病の原因を解明するという実に面白いゲームでまず大笑いする。色々と政界のコネが豊富。
○感想
聖書をモチーフにしているのが何よりもよい。それも、否定的に扱っている、というのがね。確かに聖書の出来事や人物を取上げているのならそこらへんの凡作と変わる所はないだろう。だがこの作品は、あえて人間の驕りという視点にこれを関連づけているのがよいのさ!
ウイルスね……かなり時間的な話題だね! 視覚を通じて感染する……というのが、なかなかそして、絶滅動物の復活。この二つだけで非常に世界的な変革、という出来事がよく象徴されてるとは思う。でも、できることなら他にも色んな超常現象が起きていたのかもしれないね。多分これ、また人類が滅亡の危機にさらされる可能性がないわけではないからな。
宗教の勢力図が変わっていくという展開はさすがにつっこみたくなるが。
冒頭の少年の様子は、色んな意味で深いものがある。神に選ばれた、という喜びようでありながら、目が見えなくなってしまう、そして死に至る……超常現象がモチーフで、神が関わってくる……仮面ライダーアギトかな。人智を越えるものに対する人間の恐怖は丹念に描かれてると思う。
この作品の結論に出てくる。新しい聖書を創る、ね。これまでの人類(というかキリスト教)に対するすさまじい挑戦的な文言。これだけでもう一つの物語を作れるんじゃないかと言うくらい重大だなおい。
人間がただ痛い目を見ればいいという単純な結論ではなくて、動物や自然との付き合い方を改めることができるという所に希望がある。
でもそれならユダヤ教やイスラームに関しては全く触れられないんだな……それがやはり日本的な受けなのかもしれないな。まじで一神教に関してはキリスト教以外全然触れてくれない。
宗教による価値観の束縛を誇張しすぎじゃないかって感じはする。そこにつっこんではいけないね。




