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異世界最強の魔術師は包丁を手に (旧作 世界一の魔術師 大幅リメイク版)  作者: クリップキラー
少年期 前座 学校に行こう
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魔法を知る

 昨日同様に、朝食を食べ終え、俺は口を開く。

 さっきまでで物を入れていた口から、言葉を出す。

 昨日と違う点はせいぜい、卵料理のレパートリーが増えたことくらいだ。


「ねえ父さん」


「今度は何だよ?もう勘弁してくれ。歴史についてなら教えただろうが」


「今度は魔法について教えて!魔法早く使ってみたいんだけど」


「何を今更。魔法なんて珍しいものじゃないだろう?いつも隣で俺が使っているのを見ているじゃあないか」


「だからこそやってみたいんじゃあないか!」


「危ないからダメだし、第一、お前はまだ魔法は使えない。酒は大人になってから、魔法は学校入ってからだ」


 この世界において、魔法なんてものは酒やタバコ、車の運転みたいな感覚なんだろうか。

 そんなにも何か子供が使ってはいけない理由があるんだろうか?


 でもまあ、大人と違うのは、学校に入ったらっていう点だろう。

 日本は完全義務教育の国家。小中学は確実に通えるが、この世界ではどうなんだろうか?

 

「じゃあ学校に行きたい!どうやったらいける?」


「それはいいけど、あと数ヶ月我慢しろ。そうしたら、一度学校の方に連れて行ってやるから。まあ、入学できるかどうかはお前次第だが」


「どういうこと?」


「前にも行っただろう?魔法が使えるかどうかっていうのには個人差があるって。極端に魔力量が少なかったり、魔法をうまく扱えなかったら、学校には入れないんだよ」


「なら余計に練習しなくちゃじゃん!」


「そうもいかねえの。学校に行って、魔力結晶に触れて初めて、体にに魔力が流れ込むんだから」


 何それ?魔力結晶?

 触れないと魔法使えないの?


「ちぇえ。面白くないの」


「どうせ数ヶ月待てばどんな形であれ、魔無しでなければ魔法使えるんだから」


「マナシ?」


「魔力を一切な受け付けなかった人だよ。結晶に触れても、魔力を得られない人達。そういう人達はまず学校に入学なんてことはできない」


「シビアな世界…」


「まあそんな人はめったにいないのが現状で、多少の魔法は扱えるって人が圧倒的に多いけどな」


 そう言って、父さんは指先からマッチサイズの炎を出した。


「俺はまあまあ魔力があったから、そのまま上の学校に行けたけど、まあそう言った普通の人たちなら、初等学校レベルでおしまいだな」


「初等って?」


「ああ、それはだな…」


 この世界の学校について、父さんが色々話してくれた。


 ようは、この世界には幾つもの学校があり、それぞれ、初等、中等、高等学校と、三つのグレードに分かれるようで、それぞれの学校で3年ずつ下から順に学んでいくようなシステム。


 まあ、小中高みたい感じだ。


 だが、義務教育ってわけではなく、初等で落とされる人も中にはいるらしい。

 中等になると、初等を卒業した人の中から、さらにふるいにかけられる。

 高等に入学できれば、それだけで結構なエリート。といったような感じだそうで、父さんは中等までは行ったそうだ。

 

 学校では、魔法的なことだけでなく、数学や国語のようないたって普通の勉強や、体育的な授業もあるらしい。


 ちなみに、初等や中等で落とされた人たちは、騎士育成学校のような、魔力ではなく、筋力任せな学校に行くこともあるらしく、魔導師学校だけが学校、というわけではないようだ。


 まあどの学校も同じようなグレード分けはあるようだが。


「わかってくれたか?」


「まあ大体は」


「まあお前が俺の子供だからって言っても、血は繋がってないし、繋がっていたとしてもお前が確定で魔術師になれるわけでもない。人にはそれぞれ、貯められる魔力の限界値と魔力の質、あとは魔力の回復量ってものがあるからな」


「魔力の質?」


「魔力って言っても、人によって濃さが違うんだ。濃い方が上質な魔力。要はどれだけ自分の中で魔力を圧縮できるかっていう問題なんだが、まあ何、濃い方が、同じ魔法でも、威力が大きかったり、その他いろいろいいことがあるんだ。簡単に例えると酒だな」


「と、いうと?」


「酒を注ぐ時、まず、器を決めるだろ?」


「まあ酒じゃなくても飲み物なら」


「その器が、人によってサイズが決まっているとしよう。そんでもって、酒の種類を決めるわけだ。高い酒はそれなりにうまい。だがしかし、高いから毎回毎回そうたくさん飲めるものじゃあない」


「まあそうだね」


「でも、稼ぎがいいやつなら、たくさん高い酒を飲んでも、金は無くなることはない」


「その話と魔力に何の関係が?」


 いまいちよくわからない比喩表現に、思わずツッコミを入れる。


「つまり、器のサイズっていうのは、魔力を貯めることのできる限界値。酒の種類っていうのは、魔力の質。酒を買うための資金、つまりは稼ぎが、魔力の回復量というわけだ」


「…まあ、なんとなくわかった気はする」


 いまいちピンと来にくい感じはするが、なんとなくわかったので良し。

 しかし、面白い例え方をするなあ。


「人によって全部違う。結局重宝されやすいのは、器のサイズが大きいやつだ。だがまあ唯一、器のサイズだけは、鍛えれば大きくなったりするから、頑張れば少しばかり強くなったりもする。個人差はあるが」


 魔力量の限界値は、鍛えたら変わるのか。

 スタミナみたいなもんだな。


「まあ実際、お前がどれだけ魔導師の才能があるかはぶっちゃけわからん。だが、才能がないからって、俺はお前を見捨てたりはしないから安心しろ」


 しょっぱなからあんまり期待していないから大丈夫みたいな空気作って欲しくないなあ。

 なんかそう言われると怖くなってくる。


 この世界、魔法使えないと不便そうだしな。


 そう思いながら、席を立った俺は、父さんに出してもらった水で皿を洗い始めた。


「でもなんで、魔法結晶とかいうのに触れないと魔法使えないの?」


「魔力結晶な。要は、何つうか、その魔力結晶に、昨日話した神様の魔力が宿っているんだよ。世界各地にその結晶が散らばってて、どういう仕組みかわからないが、永遠にその結晶からは魔力が放たれ続けるんだ。一度触れば、触った生物に魔力が流れ込むって仕組みだ」


「未だによくわからないんだけど、最初は外から魔力取り入れるってことは、魔力の回復っていうのは、外気から魔力を取り入れるってことになるの?」


「さあ?そんなことは考えたことなかったな。まあそう深く考えなくてもいいものだ。どうせ結晶に触れれば魔力は多少なりとも流れ込んでくるんだから」


そう呑気なことを言いながら父さんは、今まで座っていた腰を持ち上げ、畑仕事に行った。





 入学まであと数ヶ月…。



まだまだ行きますよ!

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