7月7日
偶然街で会った美和と喫茶店で一服する事にした。
20年ぶりくらいであろうか、お互い老けたねぇ。なんて話をする。
二人とももう40に手が届く年齢である。
ちらりと彼女の薬指を見ると指輪をしていない。
その目線に気づいたのか「そっちはどうなの?」と聞いてきた。
「独身貴族を謳歌してるよ」と肩をすくめながら言う。
念の為と聞き返すと「見ての通りです」と笑いながら左手の甲を差し出した。
学生時代は結構気の置けない間柄だったが、卒業と同時に疎遠になってしまった。
当時は携帯もスマホもないのが普通で仕方がなかった。
「そうだ、連絡先教えてくれないか?」
彼女は快諾しガラケーをバッグから取り出す。
番号を言うと、手に持ったスマホがぶるっと震え、画面に番号が表示された。
「OK。今度飲みにでも行こうぜ。おごるよ?」
その後、1時間ほど他愛もないお互いの近況を報告しあって別れた。
喫茶店の前で、彼女の姿を見送ると、戯れに書いた駅ビルイベントの短冊を思い出した。
「ご利益。あったんだなぁ」
今日は久々に晴れた七夕だ。神様もサービスしてくれたのかもしれない。
そんな事を考えながら帰路についた。
推敲含めて40分ほどの内容です。
500文字制限なので、いろいろ大目に見てもらえると助かります。