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掲載日:2017/05/31
「それ、本気?」
私は二人きりになっている図書室で、思わず叫んだ。
「本気さ」
何が、と言ったら、私と付き合いたいといい出した彼のことだ。
小学校の途中、彼が転校してきた頃からの付き合いだとはいうけども、私はあいにく、付き合おうとは思わない。
顔はイケメンであっても、なんだか私には合わないと、私の本能が警告を発しているからだ。
「でも、ごめんね。私、貴方と付き合うとは思わない。友達なら、今のままならいいと思う」
それが私が言える精一杯というものだ。
「なんで?」
なんでときた。
「どうしても。私じゃなくても、いいと思える人はきっといるわよ」
高校の図書室でいましているのは理科のテスト向けの勉強だ。
その最中に言われたものだから、もう勉強どころではない。
「私、先に帰るね」
慌てて荷物をまとめ、無造作にカバンへと放り込む。
そして走るようにして、私は図書室を出た。
翌日、彼は学校にいた。
だが、どうやら私に振られたということは秘密らしい。
となれば、私もこれを秘密として押し通すしかないだろう。
このことは、二人の思い出となる胸の中に、閉じこめておくことが一番だ。




