似ている仕草
冗談で映画に誘われた日から、また横村さんの事ばかり考えてしまう。
自分で、馬鹿だなぁ…と思いながら仕事をしている。
今は、化粧品の什器を磨いている。
ガラスのケースは、磨いていると案外汚れている事を知らされる。
そんな時、横村さんが私の横を通り過ぎた。
あんまり見ていたら、おかしいと思われるので見ないようにする。
そしたら、私を呼ぶ声がした。
『中村さん』
一生懸命ガラスを磨いていた私は、立ち上がって「はい!!」と返事をした。
そしたら、少し笑っている横村さんが私を手招きする。
「どうしたんですか?」
『この在庫、注文しておきますね』
それは、今から売れるであろう商品だった。
さすが横村さん…と思いながら、私はお礼を言った。
「ありがとうございます」
『あっ、掃除はどこまで行きました?』
「今、この3つ目まで終わっています」
磨けていなかったらどうしよう…と思ったけど、横村さんはこう言ってくれた。
『すごくきれいですね。ありがとうございます』
頭を深々と下げて、お礼を言われた。
「…はい」
私は、それだけを言うので精一杯だった。
この仕草は、私が好きな藤原さんの仕草に似ていたから…思い出してしまった。




