第二話 起床と上位種
眠りに就いてどれ程時間が経ったのだろう。
ともかく俺は目が覚めた。
ーーー母の怒声が聞こえてこない。
こんな朝は実に久し振りだな。
なんて思ったが、そもそも今は朝なのだろうか?
石畳で囲まれたこのダンジョンには、陽の光など射し込んではこない。
ショップを開いてリストを見ると『腕時計』があったが、変換ポイントは1000ポイントだ。
オニギリ100個分のポイントを消費してまで欲しい物でもない。
ポイントに余裕ができたら考えるか...。
小腹が空いていたため、適当にポイントを消費して食料を出す。
ポイント消費がそれなりに多いな。
俺が贅沢をしすぎたのかもしれないが。
ーーーもっと効率的に敵を探したいな。
魔物感知系のスキルがあったら是非とも欲しいところだ。
ひとまず休憩はできた。
探索を開始しよう。
そう思い立ち、俺は休憩部屋を出た。
部屋を出て2時間ほどが経過した。
あれから5回の戦闘を行ったが、やはり出てくる魔物はゴブリンとコボルトだけだ。
ーーーボス部屋に近付くと強い魔物が出てくるのだろうか?
流石に一階層の魔物が二種類だけとは思えないが。
そんなことを考えていた時...。
通りの奥に3体の魔物が見えた。
ゴブリンのように見えるが、一体がやけに大きく見える。
というより明らかに大きいな。
身長は俺の肩ぐらいか。
魔物もこちらに気付き、ゆっくりと近付いて来た。
慌てずまずは真理眼を発動させる。
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種族:ホブゴブリン Lv7
性別:雄
特殊スキル
・絶倫Lv4
武術スキル
・体術Lv3
・剣術Lv2
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どうやらゴブリンの上位種のようだ。
ゴブリンを二匹従えている。
ーーー先に雑魚を始末するか。
そう考えた俺は、相手に向かって駆け出した。
向かってきた俺に警戒したホブゴブリンは、ゴブリンを前面に押し出した。
様子見をさせるためなのだろうが、こちらとしては好都合だ。
ゴブリンの振り下ろす木の棒を避けながら斜め前に出た俺は、重心のかかった前足を払って転ばせる。
すぐに頭を踏み潰して一体を殺した。
もう一体のゴブリンも向かってきた。
短剣を手に、突き刺すように構えて進んでくる。
相手の腕を横から叩くようにして打ち払い、進んでくる勢いを利用して顔面に拳を叩き込んだ。
仰向けに倒れた相手に対し、念のため顔面を踏み潰す。
二体を始末した俺に、ホブゴブリンは強い警戒を向けている。
片手剣をこちらに向けて円を描くように動いている。
俺は自然体のまま目だけを向ける。
俺の真横に移動した瞬間、ホブゴブリンは剣を振り上げてこちらに走ってきた。
俺は素早く踏み込み、拳を構える。
いきなり踏み込んで来たことに驚いたホブゴブリンは、焦って剣を振り下ろした。
ゴブリンの棒を避けたようにして、再び相手の横にぬけた俺は、ホブゴブリンの首を掴み、踵を払うようにして転ばせる。
顔面は3回踏み潰したところで、ホブゴブリンは息絶えた。
身体能力が上がり、スキルを手に入れたところで、ゴブリンはゴブリンというところか。
思考能力は低く、咄嗟の判断ができないようだ。
この程度ならば楽に対処できるな。
ーーーいや、油断してはいけない。命がかかっているんだ。
そう、これは遊びではない。油断は大敵である。
と考え直した俺は、とりあえずステータスを見ることにした。
レベルが8になっていた。
それに体術スキルのレベルが上がっている。
この調子でなるべく早く強くならないとな。
と思い、魔石を回収して、探索を再開した。
探索を再開して4時間が経過した。
今は休憩部屋に戻ってきている。
それなりに魔物とも戦ったし、マップも広げることができた。
しかし未だに他の人間には会っていない。
偶々人のいない場所に転移させられたのか。
それとも既に...。
...ともかく今は休もう。
俺は部屋の隅で寝転がった。
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名前:黒崎直人 Lv9
性別:男 pt1200
固有スキル
・真理眼
・簒奪者
特殊スキル
・威圧Lv8
・絶倫Lv5
・嗅覚強化Lv3
武術スキル
・体術Lv6
・剣術Lv2
・槍術Lv3
・棒術Lv3
・格闘術Lv5
・短剣術Lv3
称号
・恐怖の眼光
・転移者
・妖精の友
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