第四話 日常崩壊と自称神
席に着いてゆっくりしていると、教室に人が増えてきて騒がしくなってきた。それでも俺の周りは綺麗に空いているのだが、それはいつも通りである。
佐久間と篠宮も、既にそれぞれ仲の良い連中と談笑しているようだ。
ホームルームの時間になったのだが、何故か担任教師がやってこない。
仕方なく学級委員が呼びに行くことになったのだが、何やら扉が開かないらしい。
男連中が試しても開かず、次第に混乱する者まで出てきた。
しかしそこに「皆、落ち着いてくれ!!」と、どこぞのヒーローのように声を上げる男がいた。
この男の名前は白金隼人。容姿端麗、文武両道、公明正大なリアルヒーローな奴で、周りからの人気はとんでもなく高いらしい。
若干思い込みが激しく、天然ナルシストであるため、俺はあまり好きではないが。
ともかく、白金が何やら演説的な事をし、周りも落ち着いてきたようだ。
白金の熱い演説が終わり、先程より静かになった教室だったが、突然床が光りだしたと思ったら、その光が強くなり、視界が真っ白になった。
目を開けると先程の光と同様真っ白な空間だ。
突然の事態に追い付けず、皆は唖然としている。
そこに一人の男が現れた。
「やぁいらっしゃい若人達よ。君達をここに呼んだのは他でもない、この私だ。」
途端パニックになるが、ここでもあの男が飛び出した。
「ちょっと待ってくれ!貴方はいったい誰なんだ!!」とリアルヒーロー白金が叫ぶ。
「私は神だ。」
と何でもないように言った男に対し、皆が再び沈黙する。
「てめぇが何言ってんのかわかんねぇけどよ。早く俺らを帰せよ!」と不良(笑)の佐久間が叫ぶが、男には相手にされなかった。
「君達にはこれからダンジョンに行ってもらう。そしてそのダンジョンを攻略して欲しいんだよ。」
まるで意味のわからない言葉だったが、わかる人間もいたようだ。
「も、もしかして異世界転移でチートを貰えるのか!?」
そう言ったのはヲタクの田村太一だった。普段からライトノベルと呼ばれる小説を教室内で読んでは、デュフフと笑いを浮かべている田村だが、今はその脂肪のついた顔に満面の笑みを浮かべていた。
しかし
「確かに力はあげるけど、それが強いものかどうかは運次第だよ。ていうか強くても弱くても命懸けだから、そんなに楽しいものではないと思うよ。」と自称神は言った。
命懸けと聞いて騒ぎ出す皆だが、どうやら自称神はこちらの心情など気にするつもりはないようだ。
「それじゃそろそろ送るね。向こうに着いたらステータスを開いてみなよ。チュートリアル機能もついてるからさ。それじゃ行ってらっしゃーい。」
次の瞬間、また光が溢れ出し、俺の視界は奪われた。