第二話 希少種と魔術
今日も今日とてポイントを消費して適当に飯を食う。
準備運動と柔軟をする。
ーーーさて、行くか。
今日も今日とて探索だ。
昨日とは別の方向へと向かってみる。
出てくる魔物は変わらないようだ。
状態異常を気にする必要がないため、虫系の魔物は狩るのが簡単だ。
あまりにも簡単過ぎて気が抜けてはいけない。
狼と戦う時は、わざと攻撃をせず回避の練習をしたりした。
ーーーお、あれは...。
この階層では初めてのアレを見付けた。
さて、何が入っているかな。
皆大好き宝箱を開けると、中には青の宝石が入っていた。
初めて見る品だ。
真理眼を発動してみた。
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名称:ポイントジェム(青)
種類:宝物
効果:使用すると500ポイントが加算される。
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なるほど、こういう物もあるのか。
良い物だとは思うが、今のところポイントには困っていない。
ボックスに入れておく事にした。
更に探索を進めていくと、索敵スキルが、前方に魔物がいることを教えてくれた。
近付いて見てみると、初めて見る魔物だった。
しかし真理眼を発動させるまでもなく、俺はコイツを知っていた。
むしろ知らない奴の方が珍しいかもしれない。
何故一階層ではなく二階層に出現するのか。
そう思ってしまうほど、ソレは雑魚として有名だ。
半透明なゼラチン質の体。ぷるぷると震えながらゆっくりと全身している。
目や鼻、口などは付いておらず、その体の中には赤い丸石が入っているのが見える。
ーーーそう、スライムだ。
スライムと言えば有名な雑魚キャラだ。
初期に出てくる魔物というイメージがある。
しかしここではどうなのかわからない。
真理眼で見てみるか。
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種族:スライム Lv11
性別:なし
特殊スキル
・警鐘Lv2
・索敵Lv2
魔術スキル
・時空魔術Lv1
称号スキル
・希少種
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ーーーへ?は?
魔術...だと?
スライムが魔術を持っている事に、俺はかなりの衝撃を受けていた。
しかも、それだけじゃない。
称号スキル【希少種】だ。
ーーー希少?スライムが?どういう事だ?
真理眼にてスライムの説明を見てみる。
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【スライム】
階層を問わず、極希に出現する魔物。
非常に多くの経験値を持っているが、警戒心が強く、探知系スキルがあるため、気付かれずに近付くのは困難。
また、最も珍しい魔術である時空魔術の使い手であり、長年生きてより多くの経験値を持つ上位のスライムは、転移魔術が使えるものもいる。
そのため、上位スライムの討伐率は極めて低い。
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ーーーつまり、だ。このダンジョンでは、通常のスライムが某金属なスライムのように、大量の経験値を保有しているのだ。
なるほど、希少種とはそういうことか。
ならば、ここで仕留めておきたい。
既に俺の意識は、奴の持つ魔術スキルに向けられている。
初の魔術スキルであり、しかも時空魔術とはかなり珍しいものらしい。
何としてでも手に入れなければ。
隠密スキルを最大限に発揮しながらギリギリまで近付き、そして全力疾走で駆け寄る。
スライムも途中で気付いて逃げようとするが、その時には既に俺は剣を振り上げていた。
思い切り前に跳んで剣を振るう。
仕留めた!ーーーと思ったその時。
スライムが素早く体をずらし、迫りくる剣を避けた。
ーーー避けられた!?
その事態に驚くが、ここで終わらせはしない。
逃げるスライムを追いかける。
ーーー疾い。何故その粘着ボディでそんなに疾いのかと思うが、レベルの高さと様々なスキルの効果で上げられた俺の身体能力ならば、ギリギリ捉えることができた。
全力で振るわれた俺の剣は、今度こそスライムの体を両断した。
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名前:黒崎直人 Lv22
性別:男 pt2600
固有スキル
・真理眼
・簒奪者
・統治者
・道具効果二倍
・状態異常無効
特殊スキル
・威圧Lv8
・絶倫Lv6
・警鐘Lv2
・索敵Lv3
・隠密Lv4
・咆哮Lv3
・糸生成Lv4
・毒攻撃Lv4
・麻痺攻撃Lv3
・睡眠攻撃Lv3
・聴覚強化Lv4
・嗅覚強化Lv6
武術スキル
・体術Lv7
・剣術Lv4
・槍術Lv4
・棒術Lv4
・格闘術Lv6
・短剣術Lv5
魔術スキル
・時空魔術Lv1
称号
・恐怖の眼光
・転移者
・妖精の友
・同族殺し
・小鬼王殺し
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レベルが3も上がっていた。
スライムの経験値は、俺が思っていたよりも多かったようだ。
スキルの方も手に入った。
得るものはかなり多かったな。
先程は見ていなかったスキルも確認してみる。
特殊スキル【警鐘】
所有者に迫る危機を感知する。
その危機の大きさに応じて反応は大きくなる。
という便利なスキルだった。
おそらくスライムが俺の攻撃を避けたのも、このスキルのお陰だったのだろう。
また一つ便利なスキルが手に入り、俺は満足しながら探索を再開した。