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第二話 家族と日常
穏やかな朝、微睡みの中で心地良い時間を過ごしていると、俺の部屋の扉が乱暴に開けられるのを感じた。
その人はずかずかと近付いてきて心のマイフレンドを剥ぎ取り、大きな声で騒ぎ立てた。
「いい加減に起きなさい!!」と、まるで気の強い母親のように怒鳴り声を上げる。
というか母だった。うん、母だ。
隣に住む幼馴染でもなく、健気な妹でもない。母だ。
そもそも俺には幼馴染も妹もいなかった。
などと馬鹿馬鹿しい事を考えていると、ついにお母様からのありがたい拳の鉄槌を頂いてしまった。
「どうせまた馬鹿な事考えてるんでしょ?早く起きなさいな。」と言われ、渋々マイフレンドに別れを告げる。
リビングに降りると父がいた。いつも通りコーヒーを飲みながら新聞を広げている。
父に朝の挨拶をすると、いつも通りの挨拶が飛んでくる。
うん、いつも通りだ。何もかもがいつも通りだ。
きっと今日もいつも通り学校に行き、いつも通りのぼっちライフを満喫するのだろう。
しかし、人生とはこういう時に限って、いつも通りには進んでくれないのかもしれない。