伏恋に始め2
「おっすおす、元気にしているか思春期学生ども!
特に深い意味はないんだが、来年から我が子同然である伏恋学園は、男の入学を許可することに決めた、喜べ女に飢えた狼どもよ!
だが定員制限は無論つけるぞ、なんせお嬢様から山姥まで混在していたとはいえ、あくまで我が学園は女だけの世界……いや聖域だったのだ!
私がウミタン可愛いよハアハア、ユミちゃん萌えーとかそんなこと言っていたのが問題になって、男子で発散させようとかそんなことを考えたからでは断じてない!」
長いストレートの黒髪に姿勢よく着こなす黒のストライプスーツ、そして否応なくオーラを放つ視線。
とても美人だが、それよりもカッコいいという方が似合っている女性の存在感はすごいものだったが、途中途中後ろにいた修道服の女性がなだめているのが見え、同じ人間なのだと少し安堵したのをいまでも覚えている。
「理事長おちついてください。」
「フッ、この私としたことが熱くなってしまうとは情けないな。
では話を続けてあげようか、いや、話を続けてあげるんだからね、あ、あんたの為なんかじゃないんだから! 勘違いしないでよね!」
「一人ツンデレごっこは自分の部屋で存分にやってください。」
「つれないやつだね、まあいい、本題に戻ろう。
女の花園の中に狼をいれるとなると、三十匹が限界という判定が我々の中で出た。
私としてはもっといけたのだが、シスターの服をきた糞ビッチや万年水着の胸だけババア……もといウチの教師どもが煩くてな。
ということで来年、男子生徒の入学を心待にしているぞ、ではさらばだ!」
「糞理事長様、ちょっとお話が。」
口だけが笑っている修道服の女性に、壇上から下ろされる女性を最後にテレビは終わった。
ありえない、なんだこのうたい文句は、女子高に男だと? 馬鹿にするな、行きたいにきまってるじゃないか!
脳からギュルギュルとフル回転の音がしたのはいうまでもない、その結果といっていいのか運がよかっただけなのかは今となってもわからないが、下心もとい純粋な男子心と共に受験して、まさかまさかで受かってしまい、入学することになってしまった訳だが。