友達とデアイ
そういえば今年は、テレビニュースで暖冬だと騒がれていた。
それを現実に表したように、雪もあまり降らず、気温も平年よりは上だったはずなのだが。
今春は寒春なのか?
春のくせにいつまでも寒い! 早く温かくなれ、ばかやろうめ。
と意味もなく大自然に文句を言った所で、俺は一つの溜め息を洩らし、比奈の隣に行く。
そこで黒い柄なしのカードを取出し、小さくカード型のスリットに通す。
それにより、自動ドアが開いていく。
簡潔に分かりやすく答えだけを言ったならば、カードキーである。
俺達が中に入ると、空気が蒸されたような暖かい風が身体全身を包んでくれた。
そんな、気持ち良いのか悪いのか分からない空気に身を委ね、自動で天国に近くなる直方体の箱に乗った。
「ねぇ何階を押せばいい?」
結局ついてきてるし。
「まあまあ今頃、ついてきてるし、とか思わないように、で何階?」
どうか俺の心とお話しないで欲しい。
「四階。」
「おうっ! 合点承知でござる。」
どこの仕事で働いてる人かと、ツッコミたくなるが、今は喉元までで我慢しよう。
だが何故ここの自動で天国、以下省略し昇降機はこんなにもスピードが遅いのだ!
こればかりは毎日毎日我慢できない。
俺がもし遅刻したらどうするつもりだ、皆勤賞を狙ってるんだからな。
ってもう遅刻やっちゃいましたっけ?
「なあ比奈、俺達って今日遅刻したんだっけ?」
そう訪ねると、悪魔のような笑みをして答えてくれる。
「そんな訳ないではないか香蓮ちゃん。私達が目指すは皆勤賞ではありませんか。」
さすが比奈、頭の作りが俺と同じだ。思わず抱き寄せてなでなでしたくなる。ごめんなさい冗談です。
「比奈ってさ、何人家族なの?」
「んー、姉が一人かな。
ウチの両親は居て居ないようなものだから、まぁ香蓮ちゃんと同じかな。
私を犯すなら今がチャンスだよ!」
「バーカ、犯す相手はきちんと選びますとも。」