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友達は出会い2

この頃ふと思うことがある、二人はどうして俺と話始めたのだろうか?

今となっては記憶も曖昧である。


違う中学校で違う小学校、別に幼なじみでもなければ生き別れの兄弟って訳でもない。

一見すると歳まで違っていそうだが、そこは同じか。


だがまぁ友達とはそういう者だと思っている。

陸帯に関してはの話だが。


比奈に関しては全く違う。


あれは四月四日の入学式のことだった……



俺は入学式にも関わらず、寝過ごしていた。

自分の携帯には十個のアラーム機能を設定し、シンプルな目覚まし時計を三個セットして眠りについたはずだったのだ。



だが、携帯電話をマナーモードにしており、なるはずのアラームも鳴らず、奇跡的なまでに目覚まし時計は三つとも、乾電池と言う世紀の大発明品が抜けていたのだ。



妹によれば、寝相が悪すぎて自分で抜いてるんだと主張している始末。


そういえば俺には妹がいる、仲は悪くはないはず。

いや、どちらかといえば良いほうだと思う。



名前は香蓮(かれん) (いのり)神流中学(かんな)の二年で現生徒会長らしい。

全くいやはや恐れ入る。


真っ黒の髪に、属に言う天使のワッカができており、背は146と小柄だが、スポーツもできて頭もよいパーフェクトタイプの妹。


実質、どっちがしっかりしているのかと聞かれれば、即答で祷と答えられる自信は持ち合わせている。


早朝の空気を見事に打ち壊すような妹のノリは、まるで昼休みのようで、なかなかキツい。


そんな自慢の妹は我が家の木造白壁をトントンと叩いていた。


「おはよう、祷。」

「おはよう、志毅。」


返事が早すぎる。

まるでひとつのことしか喋れない人形のようだ、と心の中でツッコム。


という訳でもなく、祷は扉を了解なしに開けると控えめすぎる胸元から、一冊のメモ帳をおもむろに取り出していた。


それを起点に俺の寝起きは最悪な物へと一変する。


あのメモ帳のことはよく知っている、俺自身は禁断の法律(デッドルール)と呼んでいる緑色のメモ帳。


因みにメモ帳の表紙には、もちろん禁断の法律などとは書いていない。

変わりに志毅お兄の育成書と、かいてあるのだから更に恐ろしい妹である。


あれを開いたということは、嫌な予感しかしてこなかった。


「志毅! 高校生になったからって調子には乗らないでくださいね。

そのことを危惧して、祷は志毅の為に決まりごとを追加しました。」


「第四十三刑、祷の許可なく女を作ってはならない。

第四十四刑、土曜か日曜のどちらかは必ず用事をいれないこと。

以上です。」


マジですか。

女って、そこまで制限してしまうのか、というか女ではなく彼女といいなさい。


ん?

ああなるほど彼女は第十八刑で決められてたから、次は女と関わるなってことか。


なるほど祷は可愛い顔して、俺を殺す気だな。

と心の中でつぶやいた。


勿論反論などしては無意味ということは既に分かっている。


この性格さえ変えれば、もっとモテルだろうにと思う。


布団から飛び出ると一目散に鞄を取り、急いで玄関までいく。


しかしそれでも後ろからシッカリと付いてきているのは、いつものことだ。


「っと、とりあえず分かったから、もう行くぞ祷。

いってきまーす、祷も遅刻しないようにしろよ!」


「アホ志毅、今日は中学校は土曜日で休みだよ。」


あかんべをしながらも見送ってくれる姿は少し愛らしい。


しかし、朝食ぐらいは食べてくればよかった、せめてバナナ一本でも欲しい所だが、昨日こうなることを見越して、制服姿で寝たのは正解だった。


若干しわができてしまったが、それは仕方ないと諦めるしかないだろう。


しかしながらそんなことを気にする余裕があるはずもなく、遅刻した俺は急いで学園に向かっていった。


通り道には桜が咲き乱れ、舞い落ちる。

しかし如何せん、風が強い。向かい風ではなく追い風だったら良かったのにと、五回ぐらい思った。


そうしてやっとついた初めての学園は、正面の門に大きく入学式と、恥ずかしげもなく書いている。



ただ紙にではなく直書きなので、ちゃんと消えるのか心配だが、そんな物をよくみる暇もなく、入学式が行われている体育館に直行しようとしたそんな時。


一人の女の子がいきなり自転車で引いて来た。


それはまるでサイの突進のようで、逃げようがない。


諦めと同時に、背中がなんかゴキリと鳴ってはいけない音を鳴ってしまった。


そして電気ショックでも受けたような痛みと痺れが襲ってくる。



「うわぁ……やってしまった、殺してしまった。」


「まだ生きてるわ!」


ついノリツッコミをいれてしまった俺は、多少の後悔をした。


この人間、めんどくさそうだと、第六感が訴えてくる。


「いいね君、というかカッコいいじゃんよく見れば。

私の名前は山谷 比奈っていうんだ、普通の山と谷で山谷。

比べるに奈で比奈

君の名前は?」


ニコニコと笑みを浮かべ、聞いてくる仕草はどこかの小動物のようであるが、名前の説明はよくわからない。


女子高生に話しかけられたという、そんな魅力に負け、軽い自己紹介をすませた。


思えばここから人生が変わったといっても、間違ってはない気がしてくる。

必ずしも良い方向にとは限らないのが難点だが。


「志毅だ。

志すに剛毅の毅で志毅。」


「へぇ、女の子みたいな名前なんだね香蓮ちゃん!」


「なんで名前しか言ってないのに、苗字を知っている!

さては俺のストーカーか!」


「えっ?

だって鞄に香蓮って書いてるじゃん。」


なるほど、祷の仕業に違いない。

鞄にはでかでかと油性マジックで香蓮とかいてあった。


「で、香蓮ちゃんさぁ……」


「ちゃんはいらない!」


語気を強めて言ったものの、何も聞いては貰えなかったがしかし、何か重要なことを忘れている気がしてならない。


比奈もそう思っているのか、仕切りに首を捻っていた。

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