友達はデアイ
それからは、特に大したこともなく放課後へと平和に時間が過ぎていく。
別に常日頃から刺激をほしがってる訳ではない。
ただ、そう欲しがってるものがあるのならばそれは、愛と何にも負けない力が欲しい。
どこからか、漫画の見すぎだと聞こえてきそうで恐いな。
しかしそんなことを思っている時間も少ないようで、後頭部を軽い衝撃が襲ってくる。
いきなりこんなことをしてくる奴といえば限られてくる。
頭の中に茶髪の女子を思い浮かべながら後ろを振り向くと、そこには朝と同じ光景があった。
いや厳密にいうとすれば違う、紅く輝く夕日に照らされた白い教室が、ほのかに色付き閑散としているそこは、まるで違う場所かと思わせる。
皆が下校していく中、ただ一人座っている俺と、そんな俺の数少ない友でもある、比奈と陸帯だけが残っていた。
本当、独りじゃないことを実感し、心が暖かくなってる感じがしたことに口角も少しあがる。
「なにボーッとしてるのよ! 香蓮ちゃんは星が出る時間までここにいる気なのかな?
それなら先に帰るけど、本当にそうじゃないよね?」
冗談混じりで笑いながら、反応を伺っている。
陸帯もそれに同調し、どうやら待ってくれているらしい。