八等級勇者め、この世界の真の恐ろしさを思い知れ!「何それ!?シリーズタイトルなんですか!?」
睡眠時間12
同シリーズの「星空上の大戦争」からお読みになると話が5割方は理解できるようになります。
「眠い」
太陽から遠い場所に位置する青い球体は、そう言った。
「何だいきなり。というより、それ聞くの53回目だぞ」
「とにかく、我は眠い」
実を言うと、この惑星、寝るのがとっても大好きなのである。この前、大赤斑の野郎が、「趣味は何だ?」と訊いたところ、真顔で「寝ること」と返すようなやつだ。一日の半分は寝て過ごすようなバカモノである。
「お前はたまには働け」
「働くって?どういう風に?」
「自転と公転をしろ。それから太陽系の軌道を外れるな」
「言われなくても解っている。寝ながらでもそれはしているさ。そうでなかったら今頃我は小惑星だ」
「まーそりゃそーだな」
大赤斑の野郎は適当な返事をする。
「それよりさあ、大赤斑の野郎とか青い球体とかじゃなくて、本名で呼べよ」
木星とか海王星とか?
「そうじゃない!同シリーズの小説では私たちに名前が与えられているだろう!それで呼べと言っている!」
ジュピターとかネプチューンとか?
「まあそんなもんだ」
ところでさあ、ネプチューンは何でそんなに眠そうにしてるんだ?
「お前が質問してどうする」
いいから答えろよ。
「とにかく眠いんだ。それより、質問するならキャラクターにさせろよ」
ネプチューンはどこからか枕を取り出して寝てしまった。
「待て待て待て!どうやって取り出したんだ!手もないし枕をしまうところもないし!!」
「アース、細かいことは気にするな」
「ジュピター、お前は気にしなさすぎなんだよ!」
これはいつものことである。
「だが、一週間前の事件は大変だったな」
「ああ、あれね」
一週間前の事件といえば、あれである。ネプチューンが寝ていたとき、ヴィーナスの体の火が移ってメタンガスが大炎上。大惨事だった。
「待て待て待て!!それもおかしいぞ!!金星と海王星の軌道は遠いはずだろ普通!!何で金星と海王星が接触するんだよ!!それに、何で火を纏ってるんだよ!!」
「細かいことは気にするな」
「気になるんだけど!!」
正確には、ヴィーナスの熱気が触れて高温になってメタンが燃えただけである。
「いや、だけでは済まされないから!!」
そもそもネプチューンとヴィーナスの公転の軌道がまったくもって謎である。
「とりあえず、無事でよかったじゃないか。なあ、ネプチューン」
「zzz」
「寝とるんかい!」
太陽系は今日も平和だった。