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第1話 ~軍師の前に~

残酷な表現、少々エッチな表現を用いると予想されるので、念のためにR15指定をかけました。


シュウを、改めてSFからF(今度はファンタジーの方)に移してみます。舞台は魔法と剣のファンタジーの世界です。リアルにこんな世界で戦争をするとしたらどうなるのか予想しながら書くことにします。更新は間違いなく不定期となります。

「はじめまして、シュウ・トレヴィルです」

この日、僕は帝国士官学校に入学した。

僕のここまでの話をしておこうと思う。誰に?僕に。僕がこの状況に落ちいったこの現状を嘆くために。それと、状況把握が少し。僕はこの日、「大バルト帝国」の士官学校に入学した。もともと帝国と戦争中の南にある半島国家「アドリア王国」に近いところで暮らしていたせいか、両親の代わりに育ててくれたじいちゃんが1ヶ月前に殺されてしまった。食事と教育を求めて士官学校ここにいる。復讐とかはあんまり考えていない。じいちゃんがそういう人だったし、もうほとんどベッドの上だったから、寿命だと思うことにした。別に士官学校に入ったからって、士官になりたいとか戦争かっこいいとかは思えない。現実をこの目で見ると、変態以外はもう二度と御免だって言う。それは保障する。

「戦場を経験したやつがもう一度戦場に戻りたがるのは、そこに戦友がいるからで、別に戦争が好きなわけじゃない」

そう話をしてくれた軍駐屯地にいる上等兵のおじさんに感化されたのか、僕も戦争が嫌いだ。でも、現に多くの国民が戦争を望んでいるのだから、しょうがない。徴兵されて2等兵から始めるよりも、士官の方が生き残る確率が多少上がるだろう?そのおじさんからから剣も魔法も多少教わっていたおかげで、士官学校には意外と簡単に入学することができた。あのおじさんには本当に感謝している。何しろじいちゃんは戦場に戻りたがった変態だったから、おじさんがまともに話せる人でよかった。とにかく、仕方がなく入学した士官学校の生活がスタートした。所属中隊はヴィスワ中隊だ。

「で、なぜ皇子たる御方が俺の相部屋メイトなんでしょうか。他にもっと家柄の良い方がいらっしゃるでしょうに」

いきなり皇子と相部屋になるとは思わなかった。人生は意外なことでいっぱいですね、おじさん。

「その呼び方はよしてくれ。エドワードという名前がある」

むっとした表情でエドワードさんは返事をした。

「すみません。でもいいんですか、相部屋メイトが平民の僕で」

「むしろ大歓迎さ。僕は一人の人間としてここにいるんだか」

「今後のために政治学校などに行かれた方がいいのではないですか」

「?君は立憲君主制度を理解していないようだ。少し説教してあげよう」

「結構です。身分に関係なく関われ、良識と決断力さえあれば大体何とかなるとか何とか、長々とおっしゃられそうですから。王宮のボンボンであらせられる皇子には、戦争よりもむしろ政治を覚えてほしいものです」

「…慇懃無礼とは貴様のようなやつのことを言うんだろうな」

「そうするようにおっしゃったのは皇子ボンボンですよ。黙って王宮のハーレムに帰って乳母に甘えていて下さい。現国王のように」

「それは同感だが! 言い方ってものがあるだろうが!」

こうして初日からエドワード皇子と僕は殴り合いを演じ、二人ともぼろぼろになったところで懲罰房に放り込まれることになった。

「俺とまともに殴りあったやつはお前が初めてだ」

「当然だろう。お前がそうしろと言ったんだから」

「そうだな…ありがとう」

「じゃ、後で何かくれ。皇子なら期待できそうだ」

「考えておく」

こうして俺たちが知り合い、士官学校に入った後しばらくしてから、寮の中で事件が起こった。ここから、俺の苦労話が始まる。

「お前、気が付いてるか?」

「ああ、なんか近づいてるな」

次第に何者かの気配が近づく。明らかに士官学校で履く靴の音ではない。それに夜中に出歩くやつは士官学校にはいない。

「この間のお礼に女でも呼んだとか」

「親父と一緒にするな。汚らわしい」

「似たようなもんだろ。ほら、箒だ。暗殺者なら毒でも使うだろう。で、お前は童貞か」

「うるさい。んな…ふしだらなことできるわけないだろう。この年で子供…親父と同じだ」

とりあえず軍服に着替え、皇子は箒、俺は服とベルトを武器代わりにする。接近戦なら役に立つだろう。

「……すまん」

「いや……気にするな。で、そういうお前はどうなんだ」

「童貞だ」

「良かった」

良くねぇ。気配がドアの前で止まる。しょうがない。先手必勝だ。皇子に目配せをする。

「お前はそっちの趣味かー!」

ドアを蹴破り、2人いた黒い服のやつらを殴り倒…まさかの仕込み鎧…だと?

「違ーう!」

しょうがないので転ばせて後頭部を床にキスさせてやった。その騒ぎに各部屋から生徒たちが出てきた。

「お前、こいつらに見覚えは」

「ない」

「だろうな」

教員に蹴散らした雑魚を引き渡し、折れた箒と破れた支給品の軍服を前に土下座した。次何か問題を起こしたら飯を抜かれるから。

「「すいませんでしたー!」」

「また貴様らかー!」

俺たちはそのまま教官室に連行された。

「お、お咎めなしだと……」

「そうかそうか。シュウ候補生にはあった方が良いかな」

「いいえ!教官殿!」

「よし。彼らのナイフには毒が塗ってあった。服や棒で立ち向かったのは良い判断だった。胸を張ってよろしい。今後も頑張るように」

「「了解!」」

「シュウ候補生、貴官を彼と同室させたのは今回のような事態に貴官が最も良く対応してくれると思ったからだ。よくやった。二人とも退室してよろしい!」

なんとかお咎めは免れた。退室した後、皇子に確認した。

「本当にそっちの気はないんだな」

「開口一番でそっちの話か……ないと言っているだろう」

小走りで部屋に戻り、服を着替える。

「で、なんで襲われたんだ」

「一番考えられるのは、俺が一人息子だからだろうな」

「お前を殺したら賞金でも出るのか」

「……俺を殺す気か」

「興味はあるが、どうせならお前以上のくそったれを殺した方が世の中のためだ」

「できればそうしてくれ。貴様はきっと俺以上に世の中に必要になる」

着替え終わってベッドを直す。

「俺が?」

「そうだ。お前が居れば誰が皇帝でもやっていけるだろう」

二人とも別々のベッドに入る。

「買いかぶりだ。ただお前より頭も性格も良くて」

「背が低いだけだな」

「うるさい」

「ま、そんなのが好みの女もいるさ」

「寝る」

エドワードのしたり顔が目に浮かぶようだった。

最初はこんなもんです。

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