第五話 幸せのカタチ
さっきの・・・友梨亜さんの言葉が頭の中でこだまする。
【自らの犠牲を選んでしまう。】
「秋葉・・・嬉しくないよ。私の為なんていわないで。」
もう大丈夫だって思ったのに・・・。泣かないって・・・決めたのに。
私はフラフラと立ち尽くす秋葉の元に行った。
でも涙は止まらないままで。震えながらも言葉をつむいだ。
「亮がすきなんでしょう?だったら、気持ちに嘘ついちゃダメ、だよ。私の為じゃなくて秋葉の為になることをして?」
私は拳をにぎり占めて言った。
「私は・・・秋葉ならいいって思ってる。さっきのごめんってそういう意味でしょ?ねぇ秋葉・・・私は亮も好きだけど・・・秋葉のコトも大好きなの。自己犠牲なんて選ばないで。」
私は秋葉をきゅっと抱きしめた。秋葉もゆっくりと抱き返してきた。その手は少し震えていて・・・。私は自分のコトなんて忘れてただ秋葉の幸せを願っていた。
でもコレは事故犠牲なんかじゃない。
だって私が自分で考えてだした、二人の傍にいるという幸せのカタチだったから。
「文香・・・ごめん。ゴメンね。でも・・・ありがとう。私は、亮が好き。でも文香のコトも大好きなの。文香にも幸せになって欲しい。だから・・・。」
「私は・・・幸せなんだよ。私の事を考えてくれる亮がいて秋葉がいてくれて。」
私たちは抱き合ったまま暫く泣いた。
秋葉も亮も私も何も言わなかった。それでも互いの温もりを感じることが出来たから。
これが私達の・・・。
きっと今の私は幸せというべきだとおもう。
親友の秋葉がいて、
大好きな人が傍にいてくれて・・・。
でも、本当はずっと・・・知っていたのかもしれない。
私たちの人生の幸せのカタチを・・・