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3話 後編

桃谷が壊れた!

もはや制御不能です!



伏線を少し多め?に入れたので、かなり長くなってしまいました。

何気ない日常や会話にも、何かが潜んでいます。


変になってしまったところを修正しました。

ピーピーピーピーピーピー。

「…ん?もう時間か…?……懐かしい夢を見たな…」

苺島は目覚ましのアラームを止め、寝ぼけ眼で職員専用共同洗面所に向かう。

…今日は10月3日、私がこの仕事を初めて1年が経つのか。だから…警察庁長官様の名前が思い出せないのか…。この仕事を始めてから、1度もあの人と会っていないしな…。

「はぁ…」

苺島はため息をつきながら、職員専用共同洗面所のドアを開けた。

「なーにため息ついてんの?君らしくないね~」

「…?」

職員専用共同洗面所には、上半身裸の見たことあるような男がいた。

「お前……桃谷か?」

「なんで疑問文なの~!桃、怒っちゃうからねっ☆」

「メガネをかけていないお前も見るのは初めてだから間違えていたんだろう。すまないな」

「…」

桃谷は、先ほどよりも苺島に近づく。

「メガネかけていないボクはカッコイイでしょ♡ギャップ萌えってやつ~☆」

「ああ、そっちのい方がいい男だ」

「んぶー!」

「どうした?子供のように(ほほ)を膨らませて」

「いっちゃん、今日はなんかおかしい。ボク、つまんない!つまんないつまんないつまんない!」

「そうか…」

「……えいっ!」

蛇口の水を苺島にかける。

「な…何をする!」

「おっ、怒った怒った♡やっといつもの君に戻ったね♡オカエリー☆」

「うむ…ボーっとしていて、迷惑をかけたみたいだな。すまなかった。さて、私も顔を洗うか」

苺島は、洗面所で顔を洗い出す。

「そうだ、今日は集合時間10分早いからねっ☆」

「何っ!それを早く言え!お前が右手に付けている、金色の腕時計壊すぞコルァ!」

「これはダメだよ~。ボクが教授になった時に助手から貰った、大切な物なんだから~」

お前はもう教授じゃないだろ、アホ。

「壊すなら、納豆君が左手に付けている時計にしたら?」

「あれは大切な人の形見だ。そんな大事な物は壊せない」

「僕のはいいんだ~」

「あっ!こんな話をしている場合ではない!邪魔だ!」

「あ~れ~」

桃谷を突き飛ばし、苺島は先ほどよりもスピードアップして、身支度をする。

「もう、いっちゃん…激しすぎだよ♡」

「……」

あのクソ細マッチョ!殴りてぇ!なんで上だけ脱いでいるんだよ!アピールか!?誰にアピールしているんだ!

「ああもう!イライラしているのに後で変なポーズをとるな!見たくないのに鏡に映るんだよ!」

「そんなに急がなくていいんじゃない?職員寮と刑務所は、専用通路使えば近いんだから」

「善は急げだ!」

数分後。

「よし、終わった。…あのアホはやっとどこかに行ったか。まぁいい。早く行こう」

同日 某時刻 監視室。

「すまない!遅れた!」

凄い勢いで苺島が入ってきたため、メンバーは驚く。

「苺島さん、遅れたって言っても…」

梨東は、秒数まで表示されている置時計を見る。

「12秒ですよ」

「12秒でも遅刻には変わりない。すまなかった」

深く頭を下げる苺島に、梨東はオロオロしている。

「そ、それぐらいで頭を下げないでくださいよ。まだメンバーそろっていないんですし…」

「そろっていない?」

頭を上げて人数を確認すると、メンバーは4人いた。

060号の子育てプロジェクト参加人メンバーは5人…桃谷のアホがいない…!

「あの野郎…どこ行った……」

「そんな鬼みたいな怖い顔しないで、なんかお話しましょうよ。何がいいですか?」

「話か…」

今日は懐かしい昔の夢を見た。そのせいだろうか…恋愛と言うものが気になる。

「お前…1番尊敬する人に恋愛するなって言われたらどうする?」

「んー、一応守りますけど、その人の言葉を守れないくらい好きな人ができたら、僕はその言葉を守らず好きな人と付き合います。いつまでもその人の言葉に縛られるのも、ちょっと嫌ですしね」

「そうか…」

私も…父さんの言葉と言う名の鎖を引きちぎってもいいのかな?

「お前は付き合うなら、年上と年下と同い年、どれがいい?」

「僕は話が合いそうな同い年か、頼りがいのある年上ですね。年下は疲れそうなので、あまり好きじゃないです」

「ふむ…なるほど。なすびはどう思う?」

苺島は、モニターを見ながらずっと機械を操作している男に話し掛ける。

「なすびじゃないです。茄子宮(なすみや) 朝喜(ともき)です。私は付き合うなら同い年です」

「じゃあ、(うしろ)は…」

「私はお兄ちゃんと同じです」

「…わかった」

参考になったような、ならないような…。

「苺島さんはどうなんですか?」

梨東が話し掛けてきた。

「私は…同い年だな。同い年が1番気が合いそうだ」

「それなら…僕が23才、茄子宮さんと後さんが21才、桃谷さんが28才、060号さんが26才だから…同い年なのは060号さんだけですね」

「その言い方は、060号と恋をしろと言っているようなもんだぞ」

「す、すみません…」

060号か…。

苺島は今朝の夢を思い出す。

最初に見たあの夢…正夢に……なる訳ないな。うむ、考えすぎだ。

「おっ待た~☆」

「お前…何分遅刻したと思っているんだ!くらえ!雑巾(ぞうきん)アタック!」

「みぎゃ!」

苺島の足元にあったバケツの中から雑巾を取出し、桃谷に投げつけると、桃谷の顔面に命中した。

「それ、さっきリサちゃんがお漏らしした時に、床と汚物を拭き取った雑巾ですよ!今片付けようと思ってたのに!」

「えっ…?」

「桃谷さん、大丈夫ですか?」

梨東が桃谷に近づく。

「これも一種の特殊プレイだと思えば…むしろ興奮する♡」

「早く風呂入って来い!」

桃谷入浴中。

「ボクの(なま)めかしいスペシャルボディ~、覗かないの?」

「覗くかバカ!」

「ああ~、ボクの肉体は美しすぎ」

「黙って入れ!」

監視室にシャワー設置したの誰だよ…!

「ふ~、さっぱりした☆」

「で、何故今日は集合時間が早かったんだ?」

「これが届いたんだっ☆」

持っていた鞄の中から箱を取出し、中を開ける。

「これは…」

「ゼリーだ!僕、ゼリー好きです!」

「ボクの助手が貰ったんだけど、いらないって言ったからボクが貰ったんだ。珍しいのと普通の味が3種類ずつ。好きなの選んでね♡」

「僕、柘榴(ざくろ)味もらいます!柘榴好きなんですよ!あの見た目がカッコイイですよね!」

「そうなんだ~☆」

「…おい、桃谷」

「ん?」

「お前の助手は元気なのか?」

苺島は、桃谷の耳元で小声で言う。

「…元気だよ」

桃谷も小声で答える。

「本当にお前の事を(した)っているんだな。あいつは被害者なのに」

「……」

「あっ、すまな…」

「ねぇ!なっすーとうっしーも食べなよ!業務命令だよ!」

話を無理矢理終わらせるかのように、桃谷は2人に話し掛ける。

「…貰います、ありがとうございます」

「君のはボクが選んであげる。はい、これね」

「……」

桃谷はナスビ味のゼリーを茄子宮に渡す。茄子宮はそれを無言で食べる。 

「うっしーは好きなの選んでいいよ」

(うしろ) 朝子(ともこ)です。では…これを頂きます」

後はオレンジ味のゼリーを選んで食べた。

「次は…」

「さて、私は」

「ボクは苺味♡」

「次は私だろ!」

「……ニヤッ」

桃谷は苺味のゼリーをグチャグチャに混ぜる。

「お、お前、そんな事をするな!」

「ボクがグチャグチャにしたのは、苺味のゼリーだよ~?そ、れ、と、も、自分がグチャグチャにされていると思って××た?」

「滅びろ!」

くそ…こうなったら…。

「わ、私は桃味のゼリーをグチャグチャしてやる!」

「あ~ん、ボク、グチャグチャにされちゃった♡」

「ゼリーの話だろ!あと、私はまだ食べてない」

「えっ、ボクを食べちゃうの?いっちゃんのH♡」

「ゼリーの話と言っただろ!」

2人が口喧嘩している時、梨東は…。

「ふぅ、美味しかった。あれ?まだ1つ残っている。桃谷さーん、これ、誰のですか?」

「人参味はリサちゃんの。人参嫌いだかちょうどよかったよ。そうだ!いっちゃんが持って行ってあげなよ」

「なんで私が」

「今の所仕事は、モニター見ているだけだからつまらないでしょ?」

「…分かった」

苺島は人参味のゼリーを持って、監視室を出…。

「リサちゃんには何味か言わないでね!あと、死刑囚の060号にはぜりーなんて言うごちそう、あげちゃダメだよ!」

「はいはい…」

060号…あの夢の後だから、なんか変な感じがする…。

柚木と060号の部屋。

「柚木、ゼリー食うか?」

「たべる!はやく!」

ゼリーを見た柚木の目は、獲物を狙う肉食動物のようだ。

「お、おう、ちょっと待て」

柚木の迫力に、苺島は少しビビっている。

「……美味いか?」

「うみゃい!」

人参味だとは気付いていないようだな。

「…………」

苺島は、雑誌を読んでいる060号を見つめる。

「ん?俺に何か用か?」

060号が視線に気づく。

「あっ、いや、その…」

な、何か言わなければ!

「わ、私は…恋愛と言うものを経験すると人は力が弱くなると思っているが、お前はどう思う?」

「…はぁ?」

わ…私は混乱して何を言っているんだ!落ち着け自分!

「いや、今のは…」

「いいんじゃねえの」

「えっ?」

「力が弱くなっても、たった1人、本当に大切な奴さえ守る力があれば、俺は弱くなってもいいと思うぜ」

「あっ……そっか…」

060号の言葉で、私の中の価値観が確実に変わった。


ドクン。心臓の鼓動が急に早くなる。


ん?なんだこれ?顔が…体が…心が熱い…。060号を見ていると、心臓の動きが早くなってしまう…。

もしかして…。

「どうした?顔が赤いぞ?」

060号が、私を見て、私を心配してくれている。それだけで…何故こんなにも嬉しいんだ?


これが…『恋』なのか?


「大丈夫か?」


私は死刑囚の060号に…恋、してしまったのか?


4話に続く。

うちの桃谷が…なんかすみませんでした。


桃谷の語尾に使えそうな記号があれば、教えてください。


ちなみに私は梨ゼリーが死ぬほど好きです。

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