1話 後編
ここに何書いたか思い出せない…。
訳が解らない人は、活動報告へ。
…ん?何かへんだ。
頭の違和感に気付いた060号は、部屋に設置してある鏡を見る。
「……髪が短い」
『ボサボサの髪がウザかったから、君が寝ている隙に切ったんだ。手術の時剃ったから、後ろちょっとハゲているけど。嫌だった?』
「…まぁいい。他に何もしなかったんだろうな?」
『君、臭かったから寝ている隙に勝手にお風呂入れたんだけど、その時チ××触った』
「お前どこ触ってんだ!」
060号の大声に驚いた柚木は、ベッドの下に隠れてしまう。
『もう、話が先に進まないので、今度は僕が進行します』
『話に入ってこないで~』
『警察の方が待ってますよ』
『はぁ~い』
ガタッとイスを引く音が聞こえる。どうやら、桃谷はどこかに行ったみたいだ。
『何か聞きたい事はありますか?桃谷さんの事以外で』
「…子供のデータをくれ」
『待ってください』
パラパラとページを捲る音がする。何かの資料を見ているのだろうか?
『えっと、その子は柚木 リサちゃん、5才。あなたに両親を殺されてから、ずっと施設にいましたが、施設が閉園する事になり、リサちゃんはここに来たんです。今言えるのはこれだけです。あと、リサちゃんといる時だけ、本名を使ってもいいですよ』
『ちなみにこっちの声は君にしか聞こえないから、リサちゃんから見れば、君は1人で喋っている変な人~!』
『ちょっと!勝手に入ってこないでください!』
『じゃ、通信を切るよ~』
『人の話聞いて』
ブツッ、ツーツー。
…通信ってこんな風にきれるのか。さて、ヒマだし子供と話してみるか。
060号は、ベッドから出てきて部屋の隅で絵本を読んでる柚木に近づき、隣りに座る。
「……柿島 要人だ。その…よろしくな」
「…」
無視かよ…。仕方ねえ、次は…握手でもしてみるか。
060号は、柚木の目の前に手を差し出す。
「……」
バシッ!
「ぬぁ!」
このガキ!俺が出した手を叩きやがった!
「ひっしね。そんなにそとにでたいの?バッカみたい」
柚木は、明らかに060号の事を見下しながら、毒舌を吐く。
「このクソガキー!」
キレやすい060号のストレスメーターは限界を超え、ブチ切れた060号は、柚木の胸ぐらを掴み上げた。しかし、柚木は顔色1つ変える事なく、冷めた目で060号を見つめる。
『怒っちゃダメです!その子を1回でも殴ると、あなたは即死刑になりますよ!』
「…チっ」
納得のいかない060号は舌打ちをしながらも、渋々柚木を床に下す。
『とにかく、ちゃんと謝ってください』
「…………ゴメン」
「わかればいいのよ」
柚木は絵本を持って、またベッドの下に潜っていった。
「…出てこいよ」
「あんたのかおみたくないのよ」
「わかった、もう勝手にしろ!」
あーイライラする!……仕方ねえ、俺も部屋にある雑誌でも読むか。
同時刻 監視室。
「リサちゃんは060号の事、何も知らないんですよね?」
「相性が悪いんじゃないの?ボクといっちゃんみたいに」
バンッ!
「も~も~た~に~」
勢いよく監視室の扉を開け入ってきたのは、明らかに怒っている苺島だった。
「ウワサをすればなんとやら」
「怒ってるじゃないですか。今度は何を、うわっ!」
2人の間を割って入り苺島がテーブルに置いたのは、数本のアダルトビデオだった。
「私のロッカーにこんなふしだらな物を入れたのはお前だろ!」
「だって~、君のロッカー何にも入ってないんだもん。何か面白い物入れておきなよ~。苺島 叶警視総監」
桃谷の言葉に、苺島は顔をしかめる。
「……今はこの刑務所の看守だ」
「そうだったね…」
2人は睨み合う。
「どっちも前途多難ですね」
夜 柚木と060号の部屋。
『リサちゃんと一緒に寝てね~♡』
「はいはい……。おい、寝るぞ。布団の中に入れ」
「…」
柚木は、060号をジッと見る。
「そこ、寒いだろ。ほら」
060号が布団を捲ってしばらくすると、柚木が布団の中に入ってきた。そして、060号のお腹の上に乗り、すぐ眠りだす。
「…なぁ、こいつ重いからどかしてもいいか?」
『ダ~メ☆多分、リサちゃんは君に甘えているんだよ』
「おい!こいつヨダレ垂らしているぞ!」
『いいじゃん~、ヨダレくらい~。我慢しなよ』
「……今日だけだからな」
やがて、060号も眠りについた。
深夜 監視室。
「桃谷さん、これ、飲んでください」
梨東は桃谷にコーヒーを差し出す。
「ありがと」
桃谷がコーヒーを飲んだのを確認して、梨東は桃谷に隣りに座る。
「初日、なんとか終わりましたね。それにしても…苺島さん、まだ仕事終わらないのかな?」
「気になるの~?」
「ち、違いますよ!あっ、きっ、今日のデータ、記録しますね」
「君は本当に解りやすいね~」
顔が真っ赤になっている梨東を、桃谷はニヤニヤしながら見つめる。
「そ、そんな事より、何時言うんですか?060号に残された時間が10月31日までって事……」
2話へ続く。
060号を坊主にするか悩んだんですが、結局坊主にするのをやめました。そっちのほうが、カッコいいので。
あと、総官の字、間違えていたらすみません。
あっ、苺島の性別は次でわかります。