1話 中編
前回途中になってすみませんでした。
グロテスクと書きましたが、グロテスクになるのはもう少し後です。
では、続きをどうぞ。
「このプロジェクトの意味は、殺人鬼でも更生できるかなんです」
「……」
ガシャンという音と共に、060号拘束具が完全に外れた。体を自由に動かせるようになった060号は、ストレッチしながら考え事をする。
「…俺はここから出られないしな。やってやるよ。そのプロジェクト」
「そうですか。まぁ、断っても無理矢理参加させるんですけどね…。とにかく、これを飲んでください」
梨東は持っていた鞄の中から水筒を取出し、その中身を白衣のポケットに入っていた、折り畳み式の紙コップに注ぐ。そして、その中身は……尿にしか見えない物だった。
「これって…」
「おしっこじゃないです!あなたをより安全に移動させるための睡眠薬です!」
「いや……それを言うと飲みにくいんだけど…」
「あっ…と、とにかく!飲んでください!」
「……」
嫌そうな顔をする060号に、梨東は尿にしか見えない睡眠薬を強気に押し付ける。
「飲めばいいんだろ!」
060号は、なかばヤケクソで睡眠薬を飲み干す。その瞬間、060号は足から崩れ落ちた。
…よし、ちゃんと息はしているな。あの人が作った睡眠薬だから、少し不安だったけど…。とにかく連絡しよう。
梨東は無線機でどこかに連絡する。
「梨東です。060号眠りました。手術室に運びます」
…………何もかも失ってしまった……。空腹で力が出ない…。もう…何日普通の飯を食っていないだろう…。ゴミ箱の残飯を漁る気力もない…。後は死を待つのみか…。
××が死を覚悟した時、上から食べ物が降ってきた。××はそれを貪りながら食べる。
「かわいそうに…お腹が空いていたんだね」
「お前は…」
上を見上げると、××と同い年ぐらいの人物が立っていた。
「××君…だよね?」
「何の用だ」
「君にいい物を持って来たんだ」
謎の人物は、持っていた鞄の中から、戸籍謄本を出した。
「これって……」
「死んじゃった君の新しい戸籍だよ」
「でも」
「買い取ったんだ。ある自殺志願者から。このままこの人が戸籍上死んだ事になったら、もったいないじゃん」
「もったいない?」
「君は戸籍上死んだ事になっている。でも…もう1度生きたいでしょ?別の人になっても」
「…」
何も言い返せない××を満足そうに見つめながら、謎の人物ははなしを続ける。
「君がこの顔に整形して、新しく、×× ××じゃなく、柿島 要人として生きるんだ。…その代わり、君に頼みたいことがある……」
ピピピピピピピピピピ。
何か鳴ってる…時計?俺は手探りで時計を探し、アラームを止める。
……懐かしい夢を見た。あいつの名前…何て言ったっけ?……ダメだ。思い出せない。
『ハーロー!060号くん』
「おわっ!」、
頭の中で声が聞こえる。
『ボクは桃谷 やなぎ。このプロジェクトの一員さ』
「状況を説明しろ!」
『簡単に言えば、君の脳の中に特殊なチップを埋め込み、目には特殊カメラ付きコンタクトレンズを装着した。チップからは、会話や聞いていることが音声データとして記録され、コンタクトレンズからは、君の今見ているものがこちらのモニターに映し出せる。チップは通信機能付き☆!』
060号はしばらく考えた後、再び喋りだす。
「つまり、全て監視されているって事か」
『そゆこと♡そして、その部屋にいる子供を君が育てて、その結果次第で即死刑か減刑か仮釈放が決まるんだ』
「子供?」
部屋を見渡すと、隅っこにぬいぐるみを抱えている子供が、060号を睨んでいた。
『だから、このプロジェクトは『死刑囚子育てプロジェクト』っていうんだよ。わーかーるーかーなー?』
なんでこいつは楽しそうなんだよ…。こっちの気持ちも考えろっつーの。
壊れた携帯の未送信メール保存機能を使って、小説の下書きを書いているのですが、携帯の電源が切れたので、今回はここまでになります。
すみません!次でちゃんと1話を終わらせるので、次まで少しお待ちください!
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