婚約破棄をされ修道院に送られたが幼女の助言に従い自分からスパダリをゲットしに行った令嬢の話
私は・・・・婚約を破棄された。
「サーシャ、婚約を無かったことにしてくれないか?好きな令嬢が出来た」
まるで日常の会話みたいに軽く言われた。
「スタイリー様、お父様と相談しなければなりませんわ」
「そう、じゃあ、とりあえず馬車に乗ってよ」
「え、何ですの?」
「良いから」
そして、そのまま馬車で・・
☆☆☆修道院
私は修道院に連れて行かれた。
この国では浮気、婚約破棄をされたら・・・女は修道院に送られる。
「オ~ホホホホホ、貴方新入りね。私はローズ夫人よ」
「はい、よろしくお願いします」
ローズ夫人・・は。
「何でかね。殿方と縁が無かったのよ。好きな事をしていたらお父様に送られたわ」
夫人という名だが未婚のようだ。
「よろしく~的な~。メルルですの」
フワフワな令嬢に挨拶された。
「夫の留守中に~、騎士と、〇〇〇していたら、旦那様が早く帰って来て~」
完全に浮気のようだ。
「貴方、新入りだから部屋は二号室ね」
「はい」
この修道院は2人一部屋だ。修道院には令嬢は4人いる。
私と同室になるのは・・・
「メアリーなの~、よろしくなの~」
幼女だ・・・
「はい、よろしく・・・」
こんな小さい子が修道院に?熊のヌイグルミを抱えている。
修道院の生活は朝夕方お祈りをすれば比較的自由だ。
許可を得たら監視はあるが近隣に散歩にも行ける。
祈り。刺繍や園芸などをして暮らす。しかし、高い塀があるわ。
まるで、隠されているようだ。
でも、メアリーちゃんはどうして送られたのかしら・・・
「メアリーはいらない子になったの~」
「そう・・・」
これ以上、聞けなかった。
ローズ夫人からお茶会の誘いを受けた。
「ねえ、お茶会をしない」
「はい・・・ではメアリーちゃんも」
「フフフ、メアリーちゃんはまだ早いわ」
3人で机を囲む。
とりとめも無い会話だわ。メアリーちゃんを誘わないのは生々しい話だからだ。
如何に殿方の気を引く話だわ。
メルル様は男を引き寄せる方法を教えて下さるわ。
「体に~、チーズをまぶしておくと~、殿方は閨を想像する的な~」
「まあ、どうしてかしら?」
「〇〇〇の匂いは~チーズと同じ的」
私は席を立った。
こういうのは苦手だ。
「まあ、サーシャ様には刺激が強かったわね。私はハンカチ落としの方法を教えるわ」
2人は善い人だが苦手だわ。
部屋に戻る。
メアリーちゃんはお絵かきしていた。
可愛い動物の絵だろうと思ったが・・・
「・・・メアリーちゃん。これは」
「地図なの~、王国の開墾の計画なの~」
メアリーちゃんの話はこうだ。
この国は落葉樹に覆われている。秋になると腰まで葉が落ちて交通が遮断される。
森を切り開くべきだと・・・
「でも、メアリーちゃん。森を切り開いたら精霊様の怒りを買うわ」
「だから、貴族が怒りを買うの~、だから貴族なの~」
民は魔獣の被害にも悩んでいる。森を切り開けば魔獣の隠れ家が少なくなる。
その責任を貴族が負うと主張したから修道院に送られたのね。
幼子なのにとんでもない事を言う。背信者の疑いがあるとの事で修道院に送られたそうだ。
「どこでも、切り開けば良いと言うわけではないの~、治水も考えなければいけないの~」
「そう・・・」
メアリーちゃんとの話が楽しくなった。
何でも知っている。まるで人生を二回送ったかのようだ。
あるとき、メアリーちゃんに男女の機微について尋ねた。
「メアリーちゃん。愛って何かしら、私、親に決められた婚約だったら分からないわ」
「アガペーなの~」
太陽が輝き。動物が死に土に還り肥料になって植物が生える・・・これは女神様の愛だと言う。
「今、生きているのが奇跡なの~、偶然が重なって生物が生まれたの~」
「では、男女の愛は・・・」
「エロスなの~、メアリーも良く分からないの~、でも、殿方の気を引く方法はあるの~、スパダリゲットなの~」
「スパダリ?」
恥ずかしいが幼女から殿方の気を引く方法を聞いたわ。
「・・・でも、メアリーちゃん。こんな方法で・・・」
「でも、実際にあったことなの~」
数ヶ月後、お父様が迎えに来た。
「サーシャ、すまない。時間が掛かってしまった」
「いえ、お父様、有意義な時間を過ごしましたわ」
我家は商人だ。商売を広げる為にスタイリー様の侯爵家と縁組をした。
「ああ、散々援助したのに・・・報われない」
「お父様・・・」
「サーシャ様、ごきげんようですわ」
「チーズを体に塗りたくる的な~」
「さよならなの~」
「ローズ様、メルル様、メアリー様・・・ごきげんようですわ」
3人に挨拶をしたわ。
3人は馬車が見えなくなるまで手を振ってくれた。
彼女らは迎えに来てくれないのね。
「グスン、グスン・・」
気がついたら涙が頬を伝わった。
その後は、スタイリー様は王都の伯爵令嬢と婚約を結んだそうだ。
侯爵からは賠償金を頂けなかった。代わりに殿方を紹介すると言う。
「まあ、なってしまった事は仕方ない。それにサーシャ嬢は修道院送りになったのだから婚約は難しい。何、私が婿を取り繕ってあげよう」
侯爵が紹介するのは寄家の下級貴族だわ。かなり年上の独身男性や離婚歴のある男性の釣書が送られて来た。
「サーシャ、すまない。力がないばっかりに・・」
「いいえ。私、実は感謝しているのですわ。お父様が数ヶ月後に迎えに来てくれて」
「え?」
修道院にいた日々は宝だわ。だけどスタイリー様には感謝できない。
断ろうと思ったが、デートをせよと侯爵から命令が来た。
相手は、30を超えている殿方だ。
「まあ、貴方が修道院送りのサーシャね。もらって差し上げますわ」
「母上・・・僕はもっと明るい子がいいな」
「贅沢を言わない」
母親と来たわ。
観劇の席にも母親が随伴だ。嫌だわ。このような殿方と結ばれるのは・・・
すると、先触れが響いた。
「マンフリート大公殿下のご登場です」
皆は席を立ち。出むかえる。
戦いに勝ち。他国にも名が響いている将軍でもある。
「やあ、皆様、今日は楽しんでよ」
大公だけど若い。26歳と聞いている。私は18歳、8歳上だわ。
メアリーちゃんの言葉が頭の中で浮かんでくる。
『スパダリは8歳差までなの~』
今上の陛下よりも名声があるわ。
大勢の方が挨拶に向かう。
だから、私も近づこうと決心した。
そうね。侯爵の言われるままに結婚するぐらいなら、自分で殿方を選ぼう。黙って席を立つ。
「ちょっと、サーシャ様?ダグちゃんの側を離れないで」
「お花を摘みに行きますわ」
こっそり大公殿下の後ろに行く。
やっぱり令嬢たちが群がっているわ。
「キャア、マンフリート様」
「私、ミッド伯爵家のミズリーと申します」
「アハハハ、そろそろ劇が始まるよ。席に戻り給え」
私は、マンフリート様の髪の毛を一本抜いた。
プツン!と音がした感じがした。
「何者か?」
「捕まえろ!」
護衛騎士達に捕まったわ。
「キャアー、マンフリート様」
「この女、何をするの!」
一瞬で修羅場になったわ。
「君たち、放し給え。ただの令嬢じゃないか?」
「しかし」
「いいから、ワケを聞こう。どうして、私の髪の毛を欲したのか?」
「はい、それは・・・・」
☆☆☆
メアリーちゃんとの楽しい日々が思い浮かぶ。
『スパダリの髪の毛を抜くの~』
『え、そのようなこと・・・』
『そして・・こう言うの~、貴方様の権勢のおこぼれを預かりたいと思ってぬいたの~』
・・・・・・・・・・・・・
「それはマンフリート大公殿下の権勢に少しでもあやかりたくて髪の毛を頂戴しました・・・」
シーンと会場が静粛に包まれた。
マンフリート殿下は顔を伏せている。怒っているのかしら。
「クククッ、アハハハハ~、面白い女だー!」
笑って下さったわ。
「さあ、ご令嬢、隣の席についてくれ」
「はい」
・・・メアリーちゃんの話だと、権力を握った殿方は、このような女が好きらしい。
『スッラやバーナード・ショウもこんな逸話があるの~、理由は不明なの~』
あら、侯爵とスタイリー様と伯爵令嬢が来たわ。驚いている。
「マンフリート殿下!サーシャ嬢は・・・修道院帰りですぞ!」
「ええ、金だけは持っている貴族とは名ばかりの準男爵家です。私の元婚約者です」
「愛想のない女ですわ」
修道院送り。やっぱり殿方は嫌なのかしら。
マンフリート様は金髪の前髪をサラと流して顔をさらした後、真顔になったわ。
【だから?】
「いえ、修道院送りになったのですよ・・」
【それがどうした?】
「いえ、大公殿下に侍らすには少々・・・」
「我が母も修道院に送られたが?」
「ヒィ、滅相もございません」
その後、正式にマンフリート大公殿下の婚約者になった。殿方を紹介出来ないのだから賠償金も頂く。大公家の後ろ盾があるからすんなり話が通ったわ。
「サーシャ、戦争が終わり平和になったな。軍隊はどうしようか?」
「はい、開墾を提案します。我が父も協力しますわ」
「そうか、平時、軍隊は土木工事か・・良い案だ」
「あの、この考えは私ではありません。修道院に賢者がおりますわ」
「ほお、なら、召還しよう」
「はい、他に友達もおりますの」
「呼び寄せなさい。私がまとめて後見人になろう」
「有難うございます」
ああ、あの3人に会うのが楽しみで仕方ない。
その後、メルル様はスタイリー様と浮気をして修羅場になったそうだわ・・・
今度はスタイリー様、メルル様に夢中のようだ。
ローズ夫人は大公家のお茶会を仕切ってくれている。
そして、メアリー様は・・・
「狼さんをやっつけるの~」
私の隣で計画を練ってくれている。
近々、大公家の養子にするつもりだ。
最後までお読み頂き有難うございました。




