第三話
今回は少々、てか多々説明的なものが多いです。寧ろほぼ全部かな?
夜中のテンションと焦りで少々変な分になっているかもしれませんがご了承ください。
では第三話どうぞ。
「だるい……」
それが統夜が思った新学期最初の授業中の感想だった。
教科は魔法制御。
内容は名前の通り魔法を制御するためで、魔法を使う時専用のグランドで行われる授業である。
そも、魔法というのは身体の内にある魔力と言われているものを消費して行使される”現象”である。
しかし、統夜には一つ問題があった。
「まあ、魔法が発動できないのはしょうがないけどね」
魔法制御の担当で統夜の担任でもある元明が、統夜の問題を簡潔に言ってくれた。
「ですよねー。ということで、わたしぁ何しとけばいいでしょうか? 先生」
「……自己鍛錬?」
「おk、把握」
魔法は使えないが、魔力だけはある統夜の唯一出来ることといえば、魔力を使用した身体強化のみである。
そのことについて周りのクラスメイトは「貴様、完璧に主人公能力ではないか!!」「は? 魔法が使えないけど、身体強化は出来ますぅ? てめぇ!! どこぞの主人公か!?」などとふざけた事を言ってくれるのだ。
統夜とて、こんな一部に特化したものよりもっと利便性のあるものの方が良かったのだ。まあ、ある程度諦めが付くと自分が出来ることを伸ばすしかないか、と思い至り現在では、力の底上げになる魔力の総量が増えるよう努力したり、筋トレなど身体能力向上に努めている。おかげで走る速度が異常になり、近接格闘戦ではこの学園内では確実にトップクラスにいることは間違いないレベルに至っている。それに少し寝坊しようが走れば普通では出せないほどの速度で走って間に合うことが出来、朝の睡眠タイムに余裕が出来たのは予想外の幸運だった。
「しかし、まあ。やることが地味なんだよね」
統夜の目的は魔力の増加に筋トレ。
方法は簡単。魔力で身体を強化した状態で筋トレしたり運動したりすればいいのだ。
正直、どれくらい能力が上がっているのか分かりにくいのだ。
それに対して他の皆が行っていることは、派手で分かりやすい。
そのもっともたる実例が目の前で行われている。
「ふはははははっ、数週間前の私と思うでない! 見よ! これが私の新たな力だぁ!!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべて両掌を天に突き上げる。その両掌にはエネルギー球体が今も膨張し続けている。
「ふんっ、甘いな。真の力とはこういうものだっ! 活目せよ! 我が一撃をっ!!」
こちらは静かに、まるで両手剣でも構えているかのような姿勢をする。その握られた拳からは、漆黒の剣が力を溜め込んでいる。
「アルティメット――」
「ディメンジョン――」
胸の前に突き出し開かれた両掌から光が溢れ、空間を切り裂かんが如く漆黒の刃は振りかぶられる。
「ブラスタァァァァァ!!」
「ブレェェェェェドッ!!」
まさに光と闇の激突。
その時間は一瞬。互いが接触した瞬間弾けとんだ。
そして静寂。
辺りに舞う土煙のせいで発動者たちがどうなったのかわからない。
そして徐々に煙が晴れていく。
「……どうなった?」
クラスメイトの誰かの呟きと共にその全貌が明らかになった。
激突点からは激突の余波のせいか地面が抉れ、小さいクレーターを作っている。
そして当の発動者たちはと言うと。
「「きゅー」」
両者とも目を回して倒れていた。
「ブーブー!」
その結果に満足いかなかったのか、観戦していたクラスメイトたちの大半はブーイングの嵐を巻き起こしていた。
本来なら称えられてもいいくらいのものなのだが、彼らが行っていた賭けの大半が負けたことによって二人に浴びせかけられるのは賞賛ではなくブーイングだった。
一部の連中、引き分けに賭けていた数人はホクホク顔で満足そうにしている。
「止めなくて良かったんですか?」
今までのこと約一分ほど筋トレをしながら横目に今までの事態を静観していた統夜は、本来なら危険なことをしていた(一応賭け事も禁止されている)彼らを止める必要があったのではないかと問う。
「うん。ウチのクラスの場合、変に締めるより、勝手にさせといた方がうまいこと出来てるんだよね」
「なんて規格外な連中だ……」
このF組、能力だけは申し分なのである。能力“だけ”は。
「いやー、他のクラスならこうはいかないかな。それにここまで気違い――じゃないや、規格外なことは出来ないよ。せいぜい同年代では制御が少し不安定な火炎放射器レベルが平均かな? 正直、放っておいたら勝手にうまくなってくれて、こちとら楽なもんだよ」
「それでいいのか教師よ……」
統夜の呟きに元明はハッハッハと笑って流した。
「それより、神崎のほうはどうなんだい?」
「はい?」
何をいきなり、と統夜が疑問符を浮かべる。
「いやね。一人まともな精神でこのクラスに居るのは辛いんじゃないかと思ってね。精神的肉体的共に」
「あれですよね」
「あれ?」
「人間ってのは慣れる生き物らしいですよ?」
「……君も、そこまで思い至ったか」
「こちとら中学の時から一輝の相手をさせられていますからね」
統夜と元明、比較的(このクラスに馴染む時点で色々アウトだろう)まともな性格を持つ二人はこのクラスの中では異端なのである。
そのことを思ってか、二人は遠い目をしていた。
どうも、一週間間隔で投稿予定だったのが崩れてorz気分なからすけです。
いやー、なんか今回のは自分で少し思ってしまいました。『これはひどい』と。
言い訳さしてもらうと、来週からテスト期間なんですよね~。単位は大事です。
ま、どうでもいいですかね?
とりあえず、活動報告の方を書いてみました。そちらの方に新作?らしきものの情報を載せておきました。
新作?のせいでこちら『魔法が使えなくとも』の更新が遅れる予定はありません。一週間も余裕を貰ってますしね。
暇とか興味があって、見てやんぜ! って方はそちらの方もご覧ください。
次こそは一週間以内を目指して。
ではノシ