プロローグ
どうも、からすけです。
今回は長編を書こうと思います。ただ、遅筆な自分、更新は平均週1予定(それより速くなれば遅くなる時もあり)なのでよろしくお願いします。
2010/08/15、設定の大幅な変更とプロローグ修正開始。上記の通り、一週間以内の更新を目指します。タイトルもその内変更しようと思います。
真っ白な部屋の中、手術台のようなものに拘束されている少年。
どれくらいこうしていたか分からない。
今まで寝ていたような気がする。
しかしそれも朦朧とする頭でははっきりとは分からない。気付いたらこうなっていた。
父と母と一緒に出かけて、そして――何があったのだろうか?
休みの日に家族で出かけて、少年が最後に覚えているのは笑顔の両親だった。
何があった?
少年の頭の中ではこれらのことが渦巻いていたが、徐々に意識がはっきりとしてきて、ようやく自分の置かれている状況が少し理解できた。
まだ完全に覚醒したとは言えない頭で考える。
なぜこんな所に縛り付けられている?
なんで自分はこんな何もないところに居るのか?
ここは一体どこなのか?
両親はどうなったのだろうか?
そして――自分はどうなるのだろうか?
それらの疑問がグルグルと頭の中で何度も繰り返される。
なんで? なんで? どうして?
そんな思考の渦に囚われてからどれほど経っただろうか。数時間だったかもしれないし、数分だったかもしれない。時間の感覚が曖昧になっていた彼にはどうでもいいことだった。それより今は疑問の答えてくれるものが欲しい。
そんな時、プシューという音と共に無機質な部屋のドアが開いた。
入ってくるのは数人の大人。白衣を着ているものが数人、ノリの利いたスーツを着用している者が一人。
少年が入ってきた者たちに感じるのは嫌悪。
まるで物を見るかのような目は、その意味が分からない少年でも感覚的に理解できた。
「おや、もう起きたようですね」
一番最初に入ってきた白衣を着た男が言った。
それに何か言い返そうと少年は言葉を発しようとしたが、それは叶わなかった。
「ふむ、まだ完璧ではないのかもしれませんねぇ」
「だが素晴らしい出来ではないか!」
どこか納得がいかなかった風に言う白衣の男に、スーツを着た太った男が野太い声で歓喜の声を上げる。
このままでは何をされるか分からない。
そういう思考に至った少年は、逃げ出そうとあらん限りの力を使って拘束を破ろうとする。
「なっ!?」
誰の上げた声だったろうか。
その声は、少年の腕を拘束していた物が引きちぎられる音によって掻き消された。
拘束具を引きちぎった時に感じた体が引きちぎられるかのような痛み。
しかしそれは一瞬のことで、その痛みは消えていく。
そんな異常性に少年は疑うこともせずに次ぎは足を締め付ける拘束具を引き千切ろうと手を伸ばす。
「早く何とかしろっ!!」
スーツを着た男の焦った叫びに、他の大人たちが数人掛りで少年を押さえつけ、一人がなにか液体の入った注射器を少年の腕に刺す。
すると徐々に少年の体から力が抜け、瞼が重くなってくる。
「これはっ、どういうことだっ!?」
スーツの男が騒ぎ立てる。
「ええ、脳のリミッターが外れているんですよ」
隣で騒ぎ立てられているからだろうか、うんざりした様子でここまでとは思いませんでしたが、と白衣を着た男が答える。
「脳――ミッ――が?」
徐々に少年の瞼が閉じてゆき、外から入る情報も途切れ途切れなものになる。
「ちょ―と――実験――」
それらの言葉を聞いて、意識は暗闇へと堕ちていった。
それから目を覚ました少年に待っていたのは地獄だった。
実験と称して行われるのは人の尊厳を無視した行為。
抉られ、切り落とされ、焼かれて、潰される。
少年がどれほど訴えてもそれらが止められる事はなかった。
そんな少年にとっての幸運は、本格的な痛みが来る前に意識を失わされたことだろう。
それは決して、ありがたいことではなかったが。
そんな実験の日々がどれほど続いただろうか。
いつしか思考が鈍り始めていた少年には全てがどうでもよくなってきた頃だ。
申し訳程度に必要最低限の生活用品がある部屋の壁に背をもたれ座っていた少年はふと疑問に思った。
いつもならもうそろそろ実験が始まっている時間で、誰かが部屋に来て少年を連れて行くのだが、今日はそれが来ない。
何があったのか? と考えた辺りで、どうでもいいかと少年の思考は停滞した。
いつ来るのかと部屋のドアを見ていると、突然ドアが勢い良く開け放たれた。
入ってきたのは少々ボロボロになった服を着た十代後半の少女。少年がここにつれて来られてから見たことない人だった。
僅かに疼いた少年の心が目の前の存在に興味を示した。
「だれ?」
感情の篭らない目と声で始めてみる人物に問いかける。
「ちっ、胸糞悪い連中だな」
返答に答えずに、少年を見た少女は吐き捨ているように言った。
答えを得なかった少年はもう一度聞いた。
「だれ?」
「ああ? えーとっ、所属言ってもわからんだろうしなー……ええい!」
再度問われた少女は、苛立った様子を隠すこともなく頭をかきむしった。
「私は神崎瑞希だっ。お前をここから、出してやる」
そういって少女、神崎瑞希は少年に向かって手を差し伸べる。
それに答えるようにおずおずと、少年が手を伸ばし、二人の手が重なる。
「よし。んで、お前の名前は?」
少年を引っ張り上げて瑞希が問いかけた。
ここに来てからあまり思い出すこともなかった自分の名前。少年は数瞬考え、きつい眼差しをした少女の眼を見て答えた。
「とうや」
「ん。じゃとうや、ここから出るぞ」
瑞希がそう言ってとうやを抱き上げる。
「しっかり捕まってろよ」
「ん?」
そう言われてとうやは瑞希の背に小さい手を回した。
「お!?」
突然声を上げた瑞希にとうやはきょとんとした眼を向ける。
「ああ、いや、なんでもない。気にするな」
その言葉を聞いてとうやは少女の胸に顔を埋めた。
久方ぶりに味わう人の柔らかさと温もりに。
指摘された点がうまいことできるかどうか分かりませんが、自分なりに頑張って行きたいと思いますのでよろしくお願いします。
次の話はプロローグその2、的な話になるのかな。
誤字や脱字、これはおかしいんでない? といったものがありましたら、報告をお願いします。
後、こうしたらいいなどアドバイスなどありましたら是非とも言ってください。糧になります。