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魔王殲滅  作者: 蒼乃
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勇者伝説

かつて勇者ユウリが大魔王を討ち倒し、世界に平和が戻った。

――だが、それは新たな混乱の始まりに過ぎなかった。


突如として国境を覆う霧、絶え間なく現れる魔物、揺らぐ王国の秩序。

大魔王亡き後の世界で、人々は再び試されることになる。


これは伝説の「その後」を生き抜く者たちの物語。

 貧民街に暮らすユウリ・グレイシアは、とても貧弱な少年だった。

 女性のような中性的な顔立ちに白い肌、その細い手足は屈強な男と呼ぶには遠くかけ離れていた。

 そんな彼が〈 勇 者 〉に選ばれたことを知ったとき、民衆の間では深い落胆の声が漏れたらしい。


 事実、彼よりも優れた魔法使いや剣聖はごまんといた。

 いくら預言者のお告げとはいえ、ヒノキの棒さえ振るったことのない少年に大魔王の討伐を託したと聞けば、(みな)が悲観的になるのも無理はないだろう。

 今からでも大魔王に降伏すれば命だけは救われるかもしれない──そんな諦めが国を覆っていた。

 そんな諦めが漂う中、ユウリは意外にも旅へ出ることを決意する。


 まず、有り金をはたいて武器屋で一番安い(つるぎ)を購入した。

 初めは剣の扱い方さえ分からなかったが、スライムとの実践を積み重ねて、自分なりの構えを習得する。

 ときには村の金品を強奪しようとするゴブリンの群れを退治したり、夜営ではビッグウルフの襲撃を松明で追い払ったりした。

 ユウリの功績は決して大きいとはいえないものの、その行動に胸を打たれた者も多く、いつしか彼を馬鹿にする者は少なくなっていた。


 やがてユウリの元には信頼できる六人の仲間たちが集まった。


 剣技に秀でた聖剣士・オルガ。

類稀なる治癒魔法を操る天才・シルフィン。

大陸でも指折りの魔導師・エレノア。

野性の力を誇る獣人・ボンフ。

鋼の誓いを抱く騎士・リファン。

常軌を逸した狂気の戦士・エルシャエデン。

後に彼らは大魔王を倒し、《七雄》と呼ばれる存在となる。


 失望と不安を抱えて旅立ったはずの者たちは、やがてユウリの在り方に惹かれ、共に絶望の大地を巡り、各地で人々を奮い立たせていった。

 そしてついに、大魔王の居城へと辿り着く。


 幾多の死闘の果て、ユウリは仲間と共に大魔王を討ち果たした。

 その瞬間、誰もが「勇者ユウリ・グレイシア」という名を疑うことなく信じ、彼の存在は伝説となった。


 ──これは、世界に平和が戻った“その後”の物語である。

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ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。

次話は9/6(土曜日)に投稿予定です。

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