00 - プロローグ
リ・スタート!
身体が、なんだかふわふわした感じがする。
目を開けているのか閉じているのかもわからない、真っ暗な場所。
身体を動かそうとしても、金縛りにあったように動けない。
なんだろう、これは?
私は今、どうなってしまっているんだろう。
その時、突然一筋の光が上空よりキラキラとスポットライトのように刺し込んできた。
そこには、1人の天使の翼?が生えた女の子。
光に照らされながら、私のほうを見てにこりと笑顔になり、
『パンパカパーン!おっめでとうございまーす!』
女の子は両手を広げてながら万歳のポーズをしている。
なに、どういうこと?
『あ、なんのことだかわかりませんよね?今あなたの状態をお教えしますね』
状態・・・?この金縛りの状態に、何か意味があるの?
疑問に思っていると、女の子が私に近づいてくる。
『今あなたは魂だけの存在で、ここは死後の世界。堕天の女神、アズエルの異空間になります!』
えっ、死後の世界!?
私、死んだの!?というか、異空間って何!?
『あなたは、とある事情により、命を落としてしまいました。哀れに思った私が、あなたの魂をこちらにお呼びしたんです。あなたに、ちょっとお願いごとをしようと思いまして』
そう、なんだ・・・。
どうして死んだのかは気になるけど、私なんかに何を頼もうっていうの?
女の子、アズエルはさっきまでの笑顔がどこへ行ったのか、真剣な表情で言う。
『その前に、いくつか質問をさせてください!あなたは、今世に悔いはありますか?』
今世、というのは死ぬ前の人生って事よね?
そもそも、私はどうして死んでしまったんだろう?
そのあたりが、全く記憶にない。
『死因に関しては、時がきましたらお話しますね。それで、答えをお願いできますか?』
そう言われてもなぁ~。
正直、自分が死んだと聞かされて、悲しいという感情にはなっていない。
家族や友達関係も、悪いとまではない。
ま、死んでしまったのなら仕方ない。あれ、私楽観的すぎる?
『なるほど、なるほど、わかりました!特に悔いはないという事ですね?』
そうなるんですかね?
魂がここにあるってことは、もう既に身体とかは火葬されていそうだし。
『では2つ目の質問です。あなたは異世界に興味ありますか?』
異世界と聞いて、私はテンションが上がる。
異世界!これってもしかして、異世界転生できるってことなの!?
ひゃー!そりゃそうだよね、死んだら天国か地獄かと思ってたけど、その可能性があるなんて思ってなかった!
『ふふふ、その反応を見ると、異世界に興味があるようですね』
アズエルはさっきまでの真剣な表情が嘘のように、くすくすと笑いながら言う。
『それでは最後の質問です。まぁこれは、質問というよりお願いになるんでしょうか』
キタキタキタ!なんですか?異世界に転生して、私に魔王を倒せとかですか!?
異世界ということは、剣や魔法が使えるんですよね?!
あといろんなスキルを手に入れたりして、チート転生者になるってこともできるってことでは!?
『お望みであれば、チート能力をお付けしますよ?それによって、剣や魔法も使い放題になれます。どうです?手伝ってもらえますか?』
もちろんやります!お手伝いしますとも!
うわ〜すっごく楽しみだなー!
私が異世界へワクワクと心を躍らせていると、
『了承、ありがとうございます!それではこれより異世界、プロンセラへお送りいたしま~す!』
アズエルがそう言いながら指をパチンッと鳴らすと、視界が紫色の光の粒で覆われ始めた。
これから私は異世界に転生して、楽しい冒険が待っているんだ!
徐々に意識が遠のいていく感覚に陥る中、アズエルは私に衝撃的な発言をする。
『あなたに倒してもらうのは魔王ではなく、勇者を倒してもらいます♡』
その言葉を聞いた瞬間、私の意識はなくなった。
??? 「異世界いけるって、わくわくする!」
アズエル「そうでしょう、そうでしょう!剣や魔法があたりまえの世界!楽しくないわけがないですよ!」
??? 「あーでも、魔物と戦うのはちょっと怖いな・・・」
アズエル「大丈夫ですよ!慣れたらちょちょいのちょいです!」
??? 「そんな簡単に言わないでよ・・・ところでさ、結局なんで私は死んじゃったの?」
アズエル「さぁいよいよ〇〇〇さんの冒険が、今始まります!」
??? 「ねぇ!話しそらさないでっ!!」