表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

第2話 初仕事でトラブル勃発!

「え、これ全部、今日運ぶんですか?」


 俺は宴会場の隅に置かれている箱を見て、目を疑った。


「そうだよ。何か問題でもある?」

「いや……」


 文句ある?みたいな、リリスさんの眼力に俺は言葉を詰まらせた。

 木箱の中には、酒・肉・珍味・謎の光る液体(※危険)など、宴会に必要な物資がギュウギュウに詰められていた。


 (問題しかないよ!? だってこれ、箱が多すぎてもはや山になってるじゃん!!)


 リリスさんは涼しい顔で言った。


「だいじょーぶ、君には体力しか期待してないから! 筋肉でどうにかしてね!!」


 美人顔でウィンクする、リリスさん。


「言い方ひどくないですか!? もっとこう、信頼とか、希望とか……」

「ないね!」


 俺の言葉はバッサリきられた。


* * *


「じゃ、とりあえず最初の木箱から運ぶか……っと」


 一番手前の箱を持ち上げた、その瞬間――


ブシャアアアアアアア!!!


「ぎゃあああああああっ!?」


――中から飛び出してきたのは、無数の小型モンスターたち。


なんだコイツらァァァ!?


「『踊る前菜』だよ! 逃がしたら宴会崩壊だから!」


 同じ宴会部のオーガが言う。

 何その重要情報!? 前もって言ってよ!!


 『踊る前菜』とか言う小型モンスターたちは、ゾンビ兵の顔に張り付くわ、リザードマンの尻尾に噛みつくわ、サキュバスのスカートに突撃するわーー祭りの屋台や宴会場を爆走し――もうカオス状態。


「きゃー!」

「やだぁあああああ!!」

「おい、新人。早く捕まえろ」


 必死でモンスターを追い回す俺。

 滑る! 転ぶ! なぜか天井からサソリが降ってくる!

 汗と涙とサソリまみれになって、ようやく全匹確保。

 その頃には、俺はほぼ干物になっていた。


「新人、なかなかやるじゃねぇか!」

「デスワームの腸液でも飲むか?」

「疲労回復にオススメよん♪」


 鬼族、ゾンビ、リザードマンの人が進めてくる。


「遠慮します!!!」


――だが、地獄はまだ終わらない。


「おい、新人ー! こっちの木箱も頼むわ!」


 そう言って持ってこられたのは、異様に頑丈な封印が施された黒い木箱。


(……嫌な予感がする)


 俺はビビりながら蓋を開ける。


グオオオオオオオオ!!!!!


――ドラゴン(幼体)が飛び出してきた。


 ぎゃあああああああっ!? 予感的中ゥゥゥゥ!!


 人型じゃないほうのドラゴン! 炎吐いてくるタイプのやつ!!


 宴会場が即・火の海。


「新人ー! 消火係も兼任だからヨロシクねー!」

「聞いてないよォォォォ!!!?」


 俺は桶にデスワームの体液を入れ、炎にぶっかけ、体を張って鎮火に成功。


 燃えた床、焦げた料理、スモークされたサキュバス。

――惨状だが、何とか任務完了……したのか?


「うん、初仕事にしては上出来ね!」


 リリスさんは、炎の中でなぜか紅茶をすする。

 余裕っぷりの態度だ。


「いや、上出来とそう言う感じじゃないでしょ!? 火事だよ!? ドラゴンだよ!? しかもまだ一箱目だよ!?」

「そうね。じゃ、次の箱、いってみようか♪」


地獄か!!!


――こうして、俺の初仕事は、物理的にも精神的にも、炎上で幕を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ