04 28日後...
暗く濁った雲が連邦議政広場の上空を低く覆い、今にも裂け落ちそうな暗幕のように街の色彩を押し潰し、息が詰まるほどの圧迫感を漂わせていた。空気は重く停滞し、光さえ陰鬱な靄に呑み込まれたかのようで、冷たく無機質な灰色が街全体を支配していた。
数週間前──あの異界の神が下した宣告は世界を震撼させた。その瞬間から世界の理は急激に歪み、地球は覚醒と混乱の渦へと呑み込まれた。無数の異常が現れ、都市にも荒野にも、さらには深海に潜む生物にまで奇怪な変異が広がっていった。人々が能力覚醒による社会の混乱から立ち直る間もなく、新たな異変が密かに芽吹き始めていた。
権力と歴史の象徴たる連邦議政広場も、この日に限っては例外ではなかった。空気は蒸し返すように淀み、どんよりとした雲が頭上を覆う。広場では人々が散策したり、足を止めて写真を撮ったりしていたが、その空気には沈滞した緊張がまとわりついていた。陰りきった空の下、ストリートミュージシャンのギターの音色は遠く霞み、子どもたちの笑い声も霧に溶けるようにかすんでいた。
そのとき──像の台座脇の地面が激しく脈動し、蜘蛛の巣のような亀裂が一気に広がった。まるで見えない手が土をかき乱しているかのように地面が盛り上がり、小石が崩れ落ち、土埃が舞い上がる。続いて、漆黒の蔓の塊が土を破って飛び出し、泥と千切れた芝を豪快に撒き散らした。
それはまさしく悪夢の具現だった。蔓の怪物は二階建ての建物ほどの高さにそびえ、中央には巨大なカボチャを思わせる頭部が不気味に浮かんでいた。橙色の表皮には黒い亀裂が網のように走り、深紅の眼光が雲の下で妖しく煌めく。蔓の表面には無数の棘が並び、巨蛇のように脈動しながら逆棘を震わせるたび、低く心臓の鼓動を思わせる唸りが響き、空気を押し潰すような圧迫感を生んだ。腐りかけた植物と湿った土の、吐き気を催す悪臭が周囲に濃く漂っていた。
「逃げろ!あれは一体なのだ!?」
群衆の中から悲鳴が爆ぜた。さっきまで賑わっていた人波は一瞬で混乱に沈み、叫び声と押し合う気配、逃げ惑う足音が広場を支配する。靴が脱げ、スマホが転がり、悲鳴、泣き声、衝突音、そして乱れた足音が入り乱れ、まるで世界の終焉が迫っているかのようだった。
「そんな……ニュースで見たのと全く同じじゃないか……」
トレンチコートの若い男がその場に立ち尽くした。手から滑り落ちたスマホの画面には、海外ニュース局による異状生物出現の緊急速報が表示されたままで、鮮烈な赤の警告が彼の蒼白な顔を照らしていた。
蔓の怪物は、まるでホラー漫画から這い出てきたかのような異形だった。真紅の口角を吊り上げ、湾曲した鋭い牙を露わにし、かすれた嘲笑を漏らしながら複数の触手を一気に振り抜く。街灯は瞬時にへし折れ、車両は横転し、ショーウィンドウは粉砕され、泥と腐植、そして血の匂いが混じり合った悪臭が一帯を支配した。
政府軍は迅速に反応した。中央議政庁区の方角から数台の装甲車が砂利を蹴散らし、土煙を上げながら猛然と広場へ突入する。車両が停止すると兵士たちが次々と飛び出し、瞬時に隊列を組んで布陣した。ライフル、機関銃、肩撃ち式ロケットランチャーが構えられ、その黒い銃口が一斉に怪物へ向けられる。
戦術ヘルメット越しに鋭い視線を走らせる指揮官は、険しい表情のまま短く命じた。
「全隊、聞け!A級異状だ!まず民間人の退避を最優先!火力班、圧制準備!重装部隊は待機、射界を確保しろ!」
その言葉が終わるより早く、蔓の怪物は脅威を察したのか、真紅の双眸をぎらりと兵士たちへ向けた。次の瞬間、太い蔓を勢いよく振り回し、鉄鞭のような触手が街路の両側を容赦なく薙ぎ払う。轟音が大地を震わせ、街路樹は根こそぎ倒れ、街灯は折れ、車両は弾き飛ばされ、舗装は破裂するように割れた。土煙が吹き上がり、あちこちで悲鳴が上がり、空気は焦燥と絶望で満ちていく。
「撃て!」
指揮官の怒号と同時に、一斉に銃火がほとばしった。
みなさん、お久しぶりです!そして本当にすみません……!
「絶対に脱稿しないぞ!」って決めてたのに、最近どうしてもやる気が出なくて、執筆も翻訳も全然進まず……第5章はこのままだと本当にいつになることやら、って感じです(泣)。
仕事やら色々とバタバタしてたんですが、アクセス解析を見ると、今でも更新を追ってくれている読者さんがいるんだなと思えて、すごく励まされました。
毎日1〜2PVぐらいでも、僕にとっては本当に大きな力になっています。
今回の章はつなぎの回で、お姉さん系能力者の登場と、第2部の主人公とのつながりを作るためのパートです。タイトルはあまり深く考えず、クラシックなゾンビ映画をそのままオマージュしました。気に入ってもらえたら嬉しいです!
次の章はおそらく不定期更新になってしまいますが、本巻の中でもかなり重要な回になる予定です。
どうぞお楽しみに〜!




