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18 セブン・ミニット・ルーレット

 ポニーテールの女子学生は歯を食いしばり、複雑な表情で答えた。

「あんな光景を見て……みんなパニックになって四方八方に逃げ出したのです。慌てて道を見失った人もいれば、物にぶつかって転んだ人もいました。階段から落ちて腕をひねった人もいて……。私は割れたガラスで切ってしまいました。」

 他の負傷者たちも次々とうなずいた。表情にはまだ強い恐怖が残っており、ショックが消えていない様子だった。

 颯真は眉を寄せたまま考え込み、負傷者たちを順に見渡した。まるで何かを見極めているか、あるいはもっと深いことを考えているかのようだった。

 しばらく沈黙が続いた後、セレステが深く息を吸った。

「それで、これからどうするつもりなの?」

 警備員は首を横に振った。

「キャンパスの外は、あれで埋め尽くされている。無線の信号も不安定で、雑音ばかりだ。そのあと、教授のところに連絡が入った。政府が軍を派遣して、スタジアムに臨時の避難ポイントを設けるらしい。それで、みんなを連れていったんキャンパスに戻り、スタジアムへ向かうことにしたのだ。」

「そうだ、」

 教授は眉をひそめ、颯真とセレステを交互に見ながら尋ねた。

「君たちは図書館のほうで、あの蔓や植物の傀儡に遭遇しなかったのか?」

 颯真は肩をすくめ、気楽な口調で答えた。

「今のところはまだだな。ツタ一本すら見てない。ただ、放送と照明はやたら不気味だったけどな。」

 セレステもうなずいた。

「私たちは書庫のほうから来たの。道はがらんとしていて、サイレンの音が響いているだけで……特に変わったものには出会わなかったわ。」

 これを聞いて、教授の表情はやや和らいだが、眉間の不安は依然として深かった。

「今のところキャンパスの中はまだ比較的安全なようだが、外の状況はいずれこちらにも広がってくるだろう。この一帯がまだ静かなうちに、できるだけ早くスタジアムへ避難しなければならない。」

 重苦しい空気が漂う中、皆は黙ってうなずいた。誰もが、この束の間の安全が嵐の前の静けさにすぎないことを理解していた。

 夜の闇の中に、ゴシック様式の高い校舎がぼんやりと浮かび上がっている。サイレンの音は、広いキャンパスの芝生の上に今も響き渡っていた。遠くからは、地面を擦る蔓の不気味なざわめきが断続的に聞こえてくる。薄暗い灯りが記念碑や古びた石のベンチを照らし、生き残った人々はそのそばに身を寄せ合っていた。土の匂いと、どこか甘く生臭い気配――そして言いようのない不吉な予感を運ぶ冷たい夜風が、静かに吹き抜けていく。

「これから……どうすればいいんですか?」

 ある学生が震える声で尋ねた。今にも声が途切れそうだった。

 警備員の男は真剣な表情で周囲を見回しながら言った。

「スタジアムが唯一の避難場所だ。だが、そこへどうやって行くかが問題だ。」

 颯真は石のベンチの肘掛けにもたれ、手にした懐中時計を見下ろしながら、何かを思案している様子だった。しばらくして、まるで部活の集合ルートでも相談しているかのような気楽な口調で言った。

「図書館の北側の小道をまっすぐ行って、大学食堂を通り過ぎれば、そのままスタジアムの南門に出られる。かなりの近道だ。急げば七分で着くよ。」

 その場は一瞬、静まり返った。

 教授は眉をひそめた。

「小道? 図書館の裏の小道のことか?」

「危険すぎる!」

 警備員は即座に厳しい口調で反論した。

「あの道は建物に挟まれていて、両側には身を隠せるような石碑一つない。蔓や植物の傀儡に正面から出くわしたら、逃げ場なんてまったくない。七分どころか、五分ももたない。」

 教授はしばらく考え込み、やがてゆっくりと口を開いた。

「それなら、建物沿いに回り込むルートはどうだろう。図書館の向かいにある管理棟と学生寮の間を抜けて、それからスタジアムへ向かう。普段より少し時間はかかるかもしれないが、比較的安全だ。たとえ蔓や植物の傀儡に遭遇しても、建物を遮蔽物にできる。」

 多くの人がうなずき、同意の声を漏らした。

 ある学生が小声で言った。

「そうですね……さっきの騒ぎのあとじゃ、小道どころか、開けた場所を歩くのも怖いです。」

 警備員も眉をひそめながら付け加えた。

「建物沿いに進めば視界は悪くなるが、少なくとも身を隠すことはできる。リスクはずっと小さいはずだ。」

 だが颯真は軽く笑い、相変わらずのんびりとした口調で言った。

「でも忘れないで。ホラーゲームでモンスターが一番好むのはどこだと思う? 角とか暗がりだよ。そこで待ち伏せして、不意打ちしてくる。逆に、真正面から堂々と突っ込んでくることはあまりない。

 蔓は外から内へ広がってきている。建物の中や隙間には死角が多いし、もしそこに潜んでいたら、気づいたときにはゲームオーバーだ。あの小道は開けているぶん、前方で何か動きがあれば一目でわかる。さっと通り抜けてしまえば、むしろ危険はコントロールしやすいと思うけどね。」

 彼がそう言うと、皆を見渡し、確信に満ちた表情で続けた。

「怪物に奇襲されて、何も分からないまま死ぬくらいなら、この七分に賭けて、一気に決着をつけた方がいい。」

 二つの意見は激しくぶつかり合い、場の空気は次第に張りつめていった。

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