第1話 自分の顔について
唐突ですが、私は私のお顔が嫌いです。
どれくらい嫌いかっていうと、もうかれこれ数年分くらいですねっ!
ぶっちゃけ、物心ついてからなので、かなーり長いと思います。
筋金入りです。
鉄筋コンクリート入りです。
ほとほと嫌気がさしてしまいますっっ!
私、実はかなり童顔なんです。
実年齢より四歳か、五歳年下に見られるくらい幼い顔立ちをしてます。
高校生にもなるのに、中学生か小学生に間違われるくらいです。
一人で歩いていれば、迷子扱いですしっ。
食べ物屋さんに行けば、お子様メニューがでてきますしっ。
タバコやアルコールは、買おうと思ったことはないけどっ、間違えてレジに持っていってしまった時、お店の人に「お嬢ちゃんはだめだよ」と怒られてしまいましたっ。
だからこの顔が、私はあまり好きではありませんっ。
むしろ、こんなエピソードがって、好きになる人っているんですかねっ。
いないとっ。
思います!
だから私が
もっと大人っぽい顔が良かったと思うのは、至極当然の流れなんです。
とっかえられるなら、誰かととかっかえたいですこのお顔!
ーーほんとに、できたらホラーですけど!
ともかく、大人でクールでかっこいいお顔の女性さんにあこがれていたんですよ。
テレビに出てくるモデルさんを見て、いつかああなりたいなーなんて。
だけど、ひょんなことから異世界に移動(転移?召喚?)してしまった私は、その童顔を買われてしまいました。
「それくらいの幼い顔を歪むのを見るのが趣味だからな(ニヤリ)」ですって。
ひいいいいいいいっ。
鳥肌物の出会いですっ。
記憶の底にしまっておきたい!
でも、そのおかげで一応、お知り合いが誰一人いない異世界の地でも、生きていけるようになったわけでーー。
人生何が役に立つか分からないですね。
はぁあああああ(ものすごく大きなため息)。
複雑な気分ですが。
食べるものもなく、頼るあてもなく行き倒れていた私は、童顔好きのその手の趣味の人ーー
カーライル・ディン・クルガート様という領主でお貴族様な男性
ーーに拾われて命拾いしました。
そしてなんと、そのまま、その人の屋敷で働かせてもらえる事になったんです。