表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/50

5

構成上、短いです。

 遠くでだれかの声がする。

 まどろみの底から、意識はけれど眠りの湖へと落ちていく。


 「……風織姫」

 拳四つくらいの近さで、驚愕に見開らかれた瞳に自分が映っているのを見た。

 目線の位置が高くなっていることに気づく。ほぼ同じか、少し上か。

「なに、それ?」

 もしかして、自分のことかと早桜は首を傾げた。

「私の名前はさおよ。早い桜と書いて早桜。」

 夢の登場人物に名乗るなんて、我ながら細かい設定だ。

「……呼んでいいのか?」

 目を見開いた少年が、真剣な眼差しで聞いてくる。

 ――少年? そういえば、彼の名が分からない。

「あなたは?」

 顔や首に浮かぶ刺青が、前とは違う模様のような気がする。線が減って、色も薄くなったような……?

「俺は……空里(くうり)風斗(かざと)の『(かむり)』を受ける者。」

 早桜は、彼が両の腕に抱えているものに気づいた。

「――あなたの子?」

 年齢的に無理ではないが、まず違うだろうと推して、白い産着に包まれた生後まもない赤子の顔を覗きこんだ後、上目遣いで言ってみる。

「甥だ。弌夏姉上の初子、闇衛の御館の初孫。」

 ふうん、と頷いた瞬間、ふっ、と少年の顔が揺らぐ。

 ――醒める。

「元気な子になるといい。」

 赤子の頬に伸ばした掌が届いたかどうかは知らない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ