表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

うちのおとのさまが男なわけ(ry

内容的に下品です。セクハラ発言あります。苦手な方は注意。

 ある日の夜、光秀は信長に呼び出された。

 とても深刻そうな表情である。


「光秀、お前に言わなければならないことがある」


 金柑というあだ名ではなく、光秀と呼ぶ時、これはかなり真面目度が高い。


 一体どんな話をしようというのだ。


 ごくりと光秀はのどを震わせた。

 おもむろに信長は自身の着ている衣装に手をかけた。

 胸元をさらけ出し、何か怪我でもしたのかと光秀は凝視した。


 しかし、現れたのは心配していた怪我ではなく、大きなお山ふたつであった。


 あれ、このお山。何で信長さまの胸にお山が。


 無論、山というのは比喩である。どういう意味かなどはよい子が読んでいるかもしれないからとてもじゃないから言えない。そんな配慮をするならそもそも書くなと言われそうではある。


「実は儂は女だったのだ」


 驚愕の事実。

 織田信長さまは女だった。


 何故か信長は上半身をさらけ出したまま光秀の元へ近づいてくる。せめてお召し物をしっかりとしてほしい。お山が揺れているので光秀はそこから目が離せなかった。


「のう、光秀」


 信長はじぃっと光秀を見つめた。


「女の儂ではダメか?」


 ダメというのは何だろうか。妙に表情が艶やかで、可愛らしくみえる。

 胸がどきどきしてしまう。


「そ、それは……」


 信長は光秀の手に触れて、自身の胸元へと誘っていく。

 感触が起きる前に、ぱちりと瞼が広がった。

 見覚えのある天井であった。

 よくよくみると自分の館、自分の寝室である。

 閉ざされている戸の向こうから鳥のさえずり声が聞こえてくる。


「ゆ、夢……」


 胸がまだどきどきとする。目が覚めたのにまだ目の前に信長がいるように思えて、首を横に振った。


「何でそんな夢を」


 よりにもよって主君に対してとんでもない妄想してしまうなど。

 悲しいくらいに自己嫌悪に陥った。


 どうしてそんな夢を見てしまったのだろうか。


 ここ最近のことを思い出す。


 信長の居城へと上がった時のことであった。


「十兵衛」


 懐かしい声、懐かしい呼ばれ方に光秀は思わずふり向いた。

 そこにいたのは見目麗しい貴婦人である。


「これは濃姫」


 織田信長の正室・濃姫である。

 かつて、光秀が仕えていた斎藤道三の娘であり、光秀の従妹でもあった。


「懐かしいわね。信長さまに会いに」

「はい、丁度報告すべきことがあり」


 目を通して欲しい書類もある。

 あら残念と濃姫はにこりと笑った。


「信長さまは今生駒御前のお屋敷へ行っているわよ」

「あ」


 光秀は思い出した。

 そういえば、姫が生まれたと聞いていた。


 冷酷な男と言われる織田信長であったが、彼は身内に対して随分と甘い部分があった。そして厳しい面もあった。


「だから、私の部屋でお茶でもしない。十兵衛のお茶を飲んでみたい」


 濃姫はずいっと光秀を呼び込もうとした。


「いえ、私は……」

「いいじゃないの。久々の従兄妹の語らい」

「従兄妹であっても、今は主君の妻と、家臣の関係です。万が一変な目で見られれば」


 濃姫の立場を穢すことになる。

 そういうと濃姫は愉快そうに笑った。


「別にいいじゃない。男同士で何がどう起きると言うの」


 まだそんな冗談にならない冗談を……。


 光秀は思わず苦笑いした。

 濃姫は光秀の元主君・斎藤道三の娘であった。

 道三は彼女を溺愛しており、彼女の悪戯はいつも大目に見ていた。

 その悪戯というのが、男装して男児のようにふるまうということ。当然のように男衆の稽古場に乱入して、果し合いをしたりしていた。

 武芸達者で、男装が似合って、侍女衆に人気があった。

 正直にいえばそこいらの男よりももてていた。

 その時、濃姫が語った設定というのがある。

 実は男児で、跡取り騒動に巻き込まれない為に姫として育てられたのだという笑えない設定である。

 そして光秀はそれを信じてしまった。

 後日、斎藤道三に「人を疑うことを覚えなさい」と窘められた。


「濃姫、もうあなたは信長様の正室。そのような冗談は「およしください」

「あら」


 一向に冗談にのってくれない光秀に濃姫は悪戯気に笑った。


「全然信じてくれないなんて。仕方ないわね。証拠をみせるしかないわ」


 証拠を見せるって何をみせるのか。

 濃姫は距離を詰めてきて、光秀は思わず後ずさりした。


「結構です。それよりそんなことをいうのはよしてください」


 そういっても濃姫の悪戯は止まることがない。

 このまま振り回されて彼女のいいように動かされてしまうのだろうか。


「濃。何、金柑にセクハラしているんだ」


 間に入るように呆れた声で信長が現れた。


「全く。またどうせ自分は男だとか、儂が女でゆり夫婦とか冗談を言っていたのだろう」


 光秀の知らないところで濃姫の冗談は健在のようであった。


「言う相手を選んでいる分、まだいいのだが」


 信長はこつんと濃姫の頭を小突いた。

 ぺろっと濃姫はべろを出して片目をつぶる。

 この濃姫、全く反省していない。


「儂の留守中、濃の遊び相手をしてもらって悪かったな」


 珍しく今日の信長はまともである。


 本日の報告や書類について信長に届け終わり、光秀は城下の館へと帰宅した。

 夜になり、身支度をすませてあとは寝るだけである。


「はー、疲れた」


 濃姫の冗談には困ったものだった。


「でも、珍しく信長様が助け船を出してくれたのは助かったな」


 いつもは濃姫と一緒に悪ノリするのに。

 普段の彼の言動に振り回されているのをついつい思い出してしまう。


 自分は男だとか、儂が女でゆり夫婦とか冗談を言っていたのだろう。


 先ほどの信長の話を思い出す。

 信長が女でゆり夫婦という部分が何度か頭の中で繰り返されて、光秀はいかんと首を横に振った。


「寝よ」


 心を無にして眠ったつもりであった。

 それなのに、それなのに夢の中で見てしまった。


 一瞬信長の女版を妄想しそうになって、考えないようにしていたのにがっつり夢で見ちゃったよ。


 しかも、ちょっとだけ劣情を抱いてしまった。

 妻への申し訳なさで気持ちが沈みそうになる。


 疲れがたまっているのかもしれない。


 温泉にでも入って、汚れた心を洗い流すとしよう。


 部下から聞いた隠れ湯のことを思い出し、光秀は早速そちらの方へと赴いた。

 随分と手入れされていた。

 入口付近に休憩所と思われる小屋が建てられており、趣の良い雰囲気であった。


「お、金柑か。ここで会うのも珍しいな」


 戸を開けると、今会うと微妙な気分になる信長が立っていた。

 しかも、裸であった。

 目を覆うとしても間に合わず、ふり向いた信長の姿を目の当たりにする。


「この温泉はよいぞ! 儂も未だにお忍びで来るからな。本物の猿が多いからいたずらに注意な!」


 先人のようにアドバイスをしてくる信長であったが、光秀の耳に入っていなかった。

 光秀は信長の姿を凝視していた。全身真っ裸の隠されない信長のすべてを目の当たりにしてしまった。

 信長が去った後、光秀は無心で温泉に浸かった。

 猿がやってきてちょっかいをかけてきたが、光秀は特に動じなかった。

 帰路につき、夕食を食べても茫然とした様子であった。


「ちちうえ、どうしたんだろう」

「温泉行ったけど疲れがとれなかったのでしょうか」


 心配そうに声を出す子供、そっとしてあげましょうという妻の声が聞こえてくるが光秀はノーリアクションであった。

 今日は早く休むようにと急かされるように寝室へと放り込まれる。

 布団の中でも光秀の目はぱっちりと開いていた。

 目を閉じても無駄なような気がした。

 現実でみてしまった信長の全ての姿をみてしまった。

 目を閉ざしても、脳裏にありありと浮かんでくる。


(て、信長様は男なんだからあってあたりまえだろう。何をショック受けているんだ、私は)


 声にならない心の声を叫び、光秀はふとんの中にくるまった。

 しばらくしたら神社にでもいって悪い心を洗ってしまおう。

 いや、悪い心とか、そんな浅ましいことは考えていないと光秀は首をぶんぶんと振った。


(おわり)

信長「濃、金柑をからかうのはほどほどにな」

濃姫「えー、信長様に言われるのは心外ですー。私も十兵衛と遊びたいのに」

信長「儂はいいの」

濃姫「そういう考えよくないですよ」


イケメンをからかって遊ぶ悪趣味を持つ似た者夫婦であった。

煕子は1576年没説をとっておりますのでまだ存命とします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ